古文書を読み解き、埋蔵金の在り処を推理!

「トレジャーハンター」お宝探索術

2015.03.18 WED


八重野さんが群馬の山奥で発見した金山の坑道。残念ながら財宝は出なかったが、この坑道を見つけたときは思わず気持ちが高ぶったとか
つい先月、「イスラエル沖で1000年前の金貨を2000枚発見!」というニュースが世界を騒がせた。「発見者は地元のダイバー」なんて聞くと、自分にも発見できるかしら…なんて夢みてしまう。けれど、果たしてそんなお宝をボクら一般人が見つけることはできるのだろうか。

日本トレジャーハンティング・クラブ代表で、トレジャーハンター歴40年以上という八重野充弘さんに聞いてみたところ、

「お宝がどこかに眠っているという伝説は、日本中に残されています。もちろん、発見のチャンスは誰にだってあると思いますよ」(八重野さん、以下同)

と心強いお言葉。「ただし…」と八重野さんはこう釘を刺す。

「残念ながら、見つかることは極めて稀です。日本には、埋蔵金伝説があちこちに残っていますが、当然のことながら、すでに見つかっているものもありますから」

冷静に考えれば、何百年も前からある伝説なら、探した人も相当数に上るはずだし、密かに子孫が掘り出した可能性もあるだろう。確かに見つけるのは、万にひとつのレベルかも…。

「そもそも、トレジャーハンターは“お宝を見つける”ことを前提にしてはいけません。実際に掘って宝を探す作業は、10段階あるとすればそのうち8段階、9段階目の作業。私もこれまで数多くのお宝伝説に触れてきましたが、実際に掘るところまで行ったのはほんのわずかです。“一攫千金”という結果ばかりを求めては、なかなかうまくいかないでしょう」

八重野さんいわく、日本でのトレジャーハントのほとんどの工程は「古文書や当時の時代背景などをもとにした推理」だという。そのため、歴史から古文書の読解力、さらには地形や地質まで、幅広い知識が求められるのだとか。さらに、古文書などから得られた情報をどのように組み立てていくのか、論理的思考力も欠かせない。まるで推理小説の世界である。

「結果だけを求める人は事前調査をほとんどせずに、いきなり重機でガンガン奥深くまで掘っていく。でも、実際にお宝が隠されているのはせいぜい地下数m。ですから、スコップなどを使って人力で掘っていけば十分です」

これまで数多くの現場を経験してきた八重野さんは、“とても惜しい”思いをしたことがあるという。

「群馬の山奥にある金山跡に、15箱くらいの千両箱が隠されているという情報をつかみました。いろいろ調べても信憑性が高い。そこで仲間と半年の間、毎週末通って掘ってみました。すると、実際に金山の跡と思われる坑道が見つかった。これは! と思って中に入っていったのですが、…結果は何もなし。もしかしたら、とっくの昔に誰かに先を越されていたのかもしれませんね」

こうした“埋蔵金”は、貨幣経済が定着した戦国期以降、特に戦国時代や幕末のような動乱期に隠されたものが多いという。

群馬県内に今も眠っているという徳川埋蔵金伝説もそのひとつ。これらは古文書などをもとに埋蔵場所を推理して探っていく。一方で、ひょんなことで小学生が川底から小判を見つけ、あとになって小判を運んでいた飛脚がその川で溺れたという古文書が見つかった、なんてこともあったという。数百年の時を超えて陽の目を見る…。まさにロマンの世界である。

40年以上、トレジャーハントをする八重野さんは、その魅力をこう語る。

「見つからないとがっかりするけれど、いろんな情報をもとにお宝を突き止めていく過程が何よりも楽しい。旅先で町役場から聞いた伝説をもとに古文書を漁ったり、聴きこみをしたりして推理を組み立てて、少しずつ真実に迫っていく感覚。これがたまらないんです。それに、仲間と一緒に山にこもって掘るのも楽しい。昼間は掘った結果に一喜一憂して、夜はみんなで焚き火を囲んで沢の水で冷やしたビールを飲んだりしてね」

仕事をしながら趣味として楽しんでいるトレジャーハンターも多いとか。当初期待していた、「一攫千金の夢」とはちょっと違うが、元手もそれほどかからなそうだし、探究心と粘り強さ、そして子どものような“遊び心”に自信があるなら、トレジャーハントの世界に足を踏み入れてみるのもいいかも?
(鼠入昌史/Office Ti+)

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