“レフティーモンスター”ついに花咲かず

元日本代表、小倉隆史が13年の現役生活にピリオド

2006.03.16 THU

その潜在能力から考えると、ちょっと寂しいキャリアの終焉だった。“レフティーモンスター”と呼ばれた小倉隆史(32歳)が、昨シーズン限りでスパイクを脱いだのである。

地元では早くから注目を集めていた彼が、全国的な脚光を浴びたのは高校3年のとき。四日市中央工業のエースストライカーとして、インターハイ3位、冬の高校選手権優勝の好成績を収めたのだ。

卒業後の92年春に名古屋グランパスへ入団し、すぐにレギュラーをつかむ。しかし93年のJリーグ開幕を迎えることなく、オランダ2部リーグのエクセルシオールへ留学する。プロ入り前から決めていた、スケールアップのための武者修行だった。

ここで彼は怪物ぶりを発揮する。環境の違いをものともせず、チームの得点源となったのである。シーズン後には、1部のクラブからオファーを受けたほどだった。

94年5月に帰国すると、いきなり日本代表に選出される。代表2試合目のフランス戦で初ゴールを決めるなど、次代の日本代表を背負うとの評価は高まるばかりだった。

順調だった歯車が狂ったのは、96年の冬だった。アトランタ五輪アジア最終予選を直前に控えた合宿で、ヒザに大ケガを負ってしまったのである。

ここから先は苦難との戦いだった。名古屋で定位置をつかめず、2000年からは移籍を繰り返した。札幌でJ2降格を経験し、自らもJ2でプレーした。3年間所属した甲府のJ1昇格に貢献したことが、小倉にとって最後の仕事となった。

スーパースターならではのオーラを放つ一方で、明るい性格の持ち主として誰からも慕われた。96年のケガさえなければ、間違いなく日本代表の一員としてワールドカップに出場していたはずだ。再び欧州の舞台でプレーするのも夢でなかっただろう。まばゆいばかりの才能の、ほんの一端しか見せることのなかった13年のキャリアは、やはり残念というしかない。 

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