週末おでかけレシピ

第2回 都内で楽しめるお手軽“富士山”とは?

2009.02.06 FRI

週末おでかけレシピ


『ご近所富士山の「謎」 富士塚御利益散策ガイド』参照 都内にある富士塚のうち、有坂さんが厳選した富士塚の大まかなマップ。このなかのほとんどが、1年を通して常に登ることができる

東京都内にも富士山があるって本当?



昨年巻き起こったガソリン高騰や不況の波。その影響で、安近短の登山が爆発的にブームとなり、多くの人々が登山に訪れているのだそう。なかでも富士登山は、登山者数が24万人以上にものぼり、21年ぶりに20万人超えを記録したのだとか。

登山。確かに費用は安めだし、行ったら自然に癒やされそうだし、健康にもよさそうだけど、正直、山登りって時間的にも体力的にも、心構え的にも難しい。

しかし、なんと東京都内に日本一の霊峰・富士山が存在するのだとか。それって週末に、気軽に富士登山を楽しめるチャンスではないか! でも、そんな富士山らしきもの、見かけたことないんですけど。本当にあるの?

「それが、あるんですよ。富士塚と呼ばれる富士山が。東京都内には約50基、関東全域には総数300基はあるといわれています」

と、教えてくれたのは、10年間も富士塚巡りを続けているという、『ご近所富士山の「謎」 富士塚御利益散策ガイド』の著者・有坂蓉子さん。

あの、富士塚って何ですか? 富士山とは違うのでしょうか?

「富士塚とは、富士山を信仰していた人たちが富士山を模して作った、人工の富士山なんです。なので、正確にいうと、山ではなく塚。富士塚の成り立ちは諸説あるのですが、江戸時代、富士山に行きたくても行けなかった一般庶民が、富士山への想いや信仰心を託し、近所でも富士山を崇められるよう作りあげたといわれています。なので、その形状はゴツゴツとした石を積み重ねた築山(つきやま)のようなものなのですが、頂上までの登山道や、○合目と書かれた合目石(道標)などがちゃんとあるんです。ちなみに昔は、富士塚の頂上から富士山を望むことができたんですよ」

富士山みたいに登ることはできるのでしょうか?

「富士塚は、高さが2、3mのものから十数mのものまでといろいろあり、現在では、鉄柵で囲まれていて足を踏み入れられないものもありますが、実際に登ることができるものもたくさんあります」

なるほど。ところでさきほど、東京都内には約50基もの富士塚があるとおっしゃっていましたが、どのあたりにあるのですか?

「お寺にあることもありますが、ほとんどが神社の境内ですね。新宿や渋谷など、都会のど真ん中にだってあるんですよ。場所によっては、わりと密集している地域もありますし、そうでなくても東京は交通の便が発達していますから、1日もあれば多くて6基くらいまわれるのではないでしょうか。ただ、富士塚は地域によって、形や大きさも様々で、まったく同じものはふたつとありません。なので、できれば、1基につき最低でも30分はかけて、1日に3、4基程度をじっくりとまわっていただきたいです」

近所にある神社の境内を散策してみたら、富士塚があったりするのかも。ちょっとびっくりだけど、富士山がかなり身近な存在になってきた気がします。だって富士塚は、富士山に行きたくても行けなかった人たちが作ったもの。いわば、登山に行きたくても行けない我々のマインドを先人たちが代弁し、しかもそれを身近に作ってくれたものといっても過言ではないのですから。富士登山を気軽に体感できる富士塚、週末のお出かけにはもってこいかも。
「鳩森八幡神社」にある「千駄ヶ谷富士」。10mを超えるほどの印象を受けたけど、実際は6~7mなのだそう。だとしても、この大きさには驚かされます

週末お手軽登山を体験すべく都内にある富士塚を巡ってきた!



富士山を信仰する人たちが、身近に富士山を崇めるために神社やお寺の境内に作りあげた富士塚。まるで富士山に登ったかのような感覚を味わうために、登 山道や合目石(道標)などがきちんと作られており、もちろん実際に登ることだってできる。そんな富士塚は、都内だけでも約50基はあるらしい。そこでさっ そく、『ご近所富士山の「謎」 富士塚御利益散策ガイド』の著者・有坂蓉子さんに、都心部にある様々なタイプの富士塚を1日で楽しめるコースを組んでいただき、それに沿って富士塚巡りに 行ってきました!

まずスタートとなるのが、渋谷区千駄ヶ谷の「鳩森八幡神社」にある「千駄ヶ谷富士」。ここは、有名な富士塚のひとつであ り、これぞまさに富士塚!といった、富士塚本来の魅力を味わえるそう。千駄ヶ谷駅の改札を抜け、駅前の大通りをまっすぐ歩いていくと、突如、緑に覆わ れた鳩森八幡神社が現れる。境内に入り、少し歩いていくとあったー! ありましたよ、富士塚が。予想をはるかに上回るデカさ。10mくらいの高さがあ るのでは。さっそく塚の周りに作られたゴツゴツとした登山道を登ってみると、意外にも苦戦する。「晴れててよかった。スニーカーでよかった」と、心持ち はすでに登山者。ぐるぐると登山道を巡りながら登り、頂上で奥宮(おくみや)を拝んだあと、下山。下りたあとは、若干息が切れておりました。

次 に目指すは、文京区の「護国寺」にある「音羽富士」。富士塚のほとんどが神社にあるなかで、ここは珍しくお寺のなかにある富士塚なのです。護国寺の正門を くぐり、本堂に続く石段の右奥に入っていくと、数々の石碑に囲まれた富士塚が出現。これもかなり大きくて、見た感じでは、高さ7mくらいの印象を受ける。 くねくねとした九十九折り(つづらおり)の登山道には合目石などもあり、「こりゃ確かに登山だわ」と、その忠実さにちょっと感動してしまいました。

こ こへ来たなら次は、同じ文京区内にある「駒込富士神社」の「駒込富士」へ。鳥居をくぐると、20段は超えるほどの急階段とその横にある「富士山」と書かれ た大きな石碑が目に飛びこんできます。その急階段がいわゆる登山道。なので、正直この富士塚では、先にまわった2つの富士塚のような気分は味わえなかっ た。しかし! 駒込富士神社から本駒込駅に向かう本郷通り沿いにはいくつもの神社・仏閣が点在しており、江戸の歴史に想いをはせつつ史跡巡りが楽しめま した。
歌舞伎町にある「西大久保富士」。神社の闇のなかにぼおっと浮かびあがり、これはこれでミステリアス。築造当時はかなり大きかったらしいが、戦後の区画整理で縮小されてしまったそう
そして、最後は、なんと新宿区は歌舞伎町のなかにある「稲荷鬼王神社」の「西大久保富士」。日本一の繁華街にある日本一の霊峰、そ の姿とは一体? 西武新宿駅に着いたころにはすっかり日も暮れ、街はネオン一色。たび重なるキャッチをくぐりぬけてたどり着いた稲荷鬼王神社の周辺は、 人通りも少なく閑散としている。ただやはり、周りには高層ビルが立ち並んでおり、こんなところに富士塚があるとは予想もつかない。で、実際の富士塚はとい うと、夜の闇も手伝ってか、かなり崇高な雰囲気がただよっている。ただ、高さは2m程度と登れそうになかったので、塚の前で一礼し、神社をあとにしまし た。

と、1日かけて、4つの富士塚をまわってきたわけですが、富士塚を巡ることによって登山をしてきた感覚になるのかというとちょっと違 う。最初は、登山感覚を楽しもうと思っていたけれど、次第に、その富士塚ができた背景や街並みなどに興味が湧き始め、体を使ってレジャーを楽しむというよ りは知的好奇心が満たされていく感じ。

「地図を片手に神社を探し、神社に入ったあとも富士塚はどこか?と境内を散策することになりますから、富士塚巡りはまるで宝探しをするような感覚なんです」と、有坂さんが語るのもわかる気がします。

そんな富士塚を都内で楽しむための秘訣は、いろんなタイプをハシゴすること。同じ沿線上にある場合も多く、ほんと、気軽に足を運ぶことができます。まずは、自宅近辺にある富士塚を探し、そこをスタートに富士塚巡りに出かけてみてはいかが? もともと、神社やお寺を巡るのが好きなこともあり、
今回の取材で、すっかり富士塚の魅力にハマってしまった私。

ただ街をブラブラと散策するだけでなく、
「富士塚を探す!」をテーマに歩いてみたら、
探検的な感覚が加わり、街巡りがより楽しくなるかも。

さらに、この富士塚巡りで得た教訓は、
今後、週末のお出かけを楽しんでいくには
文庫サイズの地図を買っておくと便利かもってこと。

迷子になりにくいし(読み間違えるともちろん迷います。迷いました)、
街の地図だけでなく、電車の路線図も載ってるし、
ポケットに入れておけば、必要な時にすぐ取り出せる。
行ったところをマッピングしていくのも楽しいかもしれません。

みなさん、そんな私の地図を一刻も早くマッピングで埋めるべく、
週末に気軽に楽しめるスポットの情報をどんどん投稿してくださいね!

▼『芙蓉庵の【富士塚日記】』

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