デフレ脱却の切り札という説も…

景気回復を狙い撃ち!?「インフレターゲット」って何?

2010.01.21 THU



図版制作/坂従智彦(PEACE DESIGN STUDIO) 出典/IMF-World Economic Outlook(2009/10)
昨年11月、政府はデフレ宣言を発表した。物価が継続的に低下する“デフレ”状態は一見、モノの値段が安くなって庶民には歓迎すべきことのように思えるが、物価下落→企業収益の悪化→給料の減少→需要が減って、また物価下落というデフレスパイラルに落ち込むと、経済は際限なく収縮してしまう。それを防ぐために中央銀行が一定の目標を定めてゆるやかなインフレを起こし、経済成長を図るべきだという議論がある。いわゆる「インフレターゲット論」だ。経済学者の池田信夫氏が解説する。

「インフレになると同じ100万円でも、来年の100万円は今年の100万円より実質的価値が下がってしまうので、人々はお金を手元に置かず使うようになり、景気は良くなるでしょう。インフレターゲット論の理屈は、中央銀行(日本の場合、日銀)がお札をバンバン発行して市場に資金を供給すれば、相対的に貨幣の価値は低くなり、物価が上昇するはずだというもの。実際そういう『量的緩和』は2000年代の初めにも行われたのです」

しかし、そうは簡単にはいかないようだ。

「今の日本の政策金利は、いわゆるゼロ金利。つまり、日銀は民間銀行に対して、ほとんど金利を取らずお金を貸しています。通常の経済下であれば、調達コストがかからないお金があるなら、銀行は利息分が儲かるので企業にどんどん貸し付けて、市中にお金が回り、インフレになります。ところが、今は経済が低迷しているせいで民間に資金需要がないので銀行が企業にお金を貸せない状況が続いているのです」

インフレターゲット論者は他にも様々な方法でインフレを起こすことが可能だとしているが、今のところ決定打に欠けるようだ。また、野放図にお金が出回るようになると、政府が信用を失い、際限なく物価が上昇するハイパーインフレに陥る危険も。何もかもキレイさっぱり解決してくれる都合のいい魔法は存在しないのである。
(星野陽平)


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