よくわかる統計マジック

第8回 1%を争う視聴率の誤差

2010.04.27 TUE

よくわかる統計マジック


「標本誤差」とは統計上の誤差のことで、視聴率と標本(サンプル)数によって変わります。「信頼度95%」とは、「100回調査したら95回はこの幅に収まる」という意味です 図版デザイン/坂井大輔

視聴率10%=視聴率が7.6~12.4%である確率が95%



日本テレビが4月9日に視聴率全日1桁を達成したことが、ちょっとした話題になりました。ちなみに最も視聴率が高かったのは『ズームイン!! SUPER・2部』で9.9%。あと0.1%あれば、ここまで騒がれなかったでしょうに。

この視聴率というのは、テレビの番組やCMがどのくらい見られているかを示す数字であり、その高低や移り変わりから国民の関心の度合いや社会の動きをうかがい知る、といった社会調査的な面で利用されたりもします。いうまでもなくテレビ局は視聴率を番組制作・編成のマーケティングデータとして活用し、広告代理店はテレビの広告効果を測るときの指標にします。わずか数%の差が番組の内容やテレビ局の収益に大きな影響を与える視聴率ですが、どのように計算されているのでしょうか?

視聴率は母集団(テレビを所有する全世帯から病院、事務所、寮、マスコミ関係者のいる世帯などを除いたもの)から無作為に抽出したサンプルから推定した数値です。関東地区を例にとると、約1760万世帯から600世帯をランダムに選び、視聴率計測器を設置しています。たとえばある番組の視聴率が10%だったら、この600世帯のうち60世帯がその番組にチャンネルを合わせていたということであり、必ずしも母数の10%=約176万世帯が視聴していたとは限りません。つまり、サンプル調査には誤差が生じます。 現在、視聴率調査を独占しているビデオリサーチ社の調査方法だと、サンプル数600、信頼度95%の場合、視聴率が10%だったときの誤差は±2.4ポイントです。要するに、「視聴率10%」というのは、厳密には「視聴率が7.6~12.4%の範囲内である確率が95%」なんですね。ということは、ひょっとしたら冒頭であげた『ズームイン!!』の視聴率は2桁に乗っていたかも。なお、視聴率20%なら誤差は3.3ポイントとなり、50%に近づくにつれ誤差は拡大します。よく「1%を争う視聴率戦争」なんていいますけど、誤差の方が大きいんですね。

じゃあ、精度を上げるためにサンプル数を増やしたら? と思われるかもしれません。しかし、誤差をいまの半分にするだけでも調査世帯は4倍の2400世帯、コンマ以下の数字に正確性を求めるなら300万世帯は必要といわれており、さすがにコストがかかりすぎます。なので、視聴率は、「ある程度の誤差を考慮に入れれば、それなりに意味のある数字だ」くらいにとらえるのよいでしょう。 この連載で取り上げてほしいテーマや気になる統計データがあれば、右下の投稿ボタンから投稿ください!

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