よくわかる統計マジック

第11回 日本人の英語力は本当に低いのか?

2010.05.25 TUE

よくわかる統計マジック


このときの試験形式はCBTですが、日本は26カ国中25位と、やはり低調です。しかし、受験者数にこうも差があると、単純に「平均」して比べるには無理があります。ちなみに、平均点は非公開ですが、受験者が11人(ブータン、モルジブ)や4人(ブルネイ)の国もありました 図版デザイン/坂井大輔

TOEFLの国別平均点は受験者の「質」と「数」に偏りアリ!?



「日本人の英語力は高いと思いますか?」と聞かれれば、多くの人が「いいえ」と答えるのではないでしょうか。少なくとも自信満々に「イエス!」と答える人はまれでしょう。日本人の英語力の低さは以前から問題視されていますが、そこの根拠のひとつがTOEFL(Test of English as a Foreign Language)の結果の国際比較です。

TOEFLの主催団体・ETCが発表している国別得点によれば、2009年1~12月のiBT(Internet-Based Testing/120点満点)における日本人の平均点は67点で、アジア30カ国中28位。ただ、タジキスタンと同点で並んでいるので、下から数えれば2番目に低い点数です。TOEFLの試験形式は06年にCBT(Computer-Based Testing/300点満点)からiBTに変更されていますが、日本が北朝鮮やモンゴルなどとビリ争いを繰り広げているのは90年代後半から変わっていません。しかし、ここで見落とされがちなのが、各国の受験者の「質」と「数」です。

TOEFLの成績は、非英語圏の人が英語圏の学校へ留学するための判定基準になっており、試験は本人が出願し、受験料(160~200米ドル)もかかります。さて、たとえば途上国で、お金を払って受験するのはどんな人でしょうか。一概にはいえないかもしれませんが、留学を熱望する、あるいは留学できる環境にあるエリート層でしょう。また、平均点ランキング上位の常連であるシンガポール、フィリピン、インドといった国々では、英語が公用語ないし準公用語になっています。 ひるがえって日本の場合、学校によっては在校生全員に受験を義務づけているところもあったりで、受験者の質はピンキリです。受験者数(05年7月~06年6月※ETSで公開されている最新値)を見ても、日本人は約8万人で、韓国の約12万人に次ぐ2位。しかし、万単位で受験者がいるのはこれにインド、台湾、タイを加えた5カ国のみで、それ以外の国々の大半は1000人にも達しておらず、なかには2桁の国もあります。

つまり、これだけ受験者層と受験者数にバラつきがあるものを同じ土俵で比べても、あまり意味がないということです。日本人のTOEFLの最新結果が67点であることは事実ですが、これを他国と比較するなら、年齢や学歴など受験者の質を精査したうえで、無作為抽出した一定のサンプルで見るべきでしょう。とりあえず、「日本の英語力はアジア最低レベル!」みたいに自虐するのはやめません? この連載で取り上げてほしいテーマや、気になる統計データがあれば、右下の投稿ボタンから投稿ください。

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