水道料金よりだいぶ安いらしい…

ボクらも汲み上げていい? 地下水は無法地帯だった!?

2010.07.01 THU



写真提供/アフロ
地下水がさまざまな企業や団体から注目を浴びている。地下水を汲み上げ、ろ過して供給するという新しいビジネスが登場し、病院や食品工場、大学などの大規模施設でこれまでの水道から地下水に切り替えるケースが相次いでいるのだ。背景にあるのは、水ろ過技術の進歩と、水道の料金システム。水道というのは大量に使えば使うほど割高になる仕組みになっており、地下水を使えば水にかかるコストが2割以上も削減できるのだという。

とはいえ、この地下水ビジネス、どうもよくわからない点がひとつある。地下水って、勝手に汲み上げて使っていいものなのか。

「地下水は原則として土地所有者にその権利があります。東京や大阪の臨海地域など、過去に地下水を採取し過ぎて地盤沈下が発生した一部地域では法律や条例で地下水利用が規制されていますが、民法上では地下水は土地所有者のものとされています」。こう話すのは国土交通省土地・水資源局水資源政策課。

じつは、地下水をめぐってはまったく異なる2つの見解がある。ひとつは、地下水は「公のもの」という「公水論」。もうひとつは「私のもの」だという「私水論」。地下水は私有地に滞留しているのではなく、流動し、水循環の一翼を担っている公共財というのが公水論で、その一方、民法では地下水は私有財産とされている。この2つの考え方については、水行政に関わる各省庁がいろいろと議論してきたのだが、いまだに見解が統一されていないのが現状。つまり法律上は、規制地域を除き、土地を持てば誰でも地下水が汲み放題ということになっているのだ。

もっとも、企業や病院といった大口利用者の水道離れが進むと、自治体の水道事業の収益は大幅に減少し、そのツケはいずれ料金の値上げというかたちで一般の利用者に回ってくるともいわれている。なにより、地下水の汲み上げが無制限に広がれば、地下水の枯渇や地盤沈下という問題も出てくる。「地下水は誰のものなのか」はともかく、地下水利用については何らかのルールが必要になってきたのかもしれない。
(押尾銅山)


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