社会性とやらを生物に学べるか?

第6回 リーダーなしでも上手に群れるゴンズイ

2010.10.05 TUE

社会性とやらを生物に学べるか?


新江ノ島水族館では、帯状になったり、玉状になったりと、終始群れで行動するゴンズイを見ることができる。ちなみにゴンズイは攻撃的な魚ではなく、また、外道とはいっても、食べるとかなりおいしいそうです 撮影協力/新江ノ島水族館

フェロモンによって群れを作る魚



胸びれや背びれに毒を持ち、釣り人からは外道として嫌われているゴンズイという魚をご存じでしょうか。その幼魚は、ゴンズイ玉と呼ばれる密集した群れを作ることで知られています。なんでもこの群れは、フェロモンによって集まっているのだとか。その仕組みについて、新江ノ島水族館の魚類チーム学芸員・崎山さんにお話を伺いました。

魚の群れのような集団行動をする際、ボクら人類だと「アツマレ~」とか「コッチだ~」と指示を出すリーダーがいることが多いですが、ゴンズイの群れにもフェロモンで指示するリーダーがいるんでしょうか。

「群れにリーダーがいるわけではなく、それぞれが集合フェロモンを出し合うことでまとまって泳ぐので、それが玉のように見えるんです。また、フェロモンの匂いは群れによって違うため、別々の群れ同士はまとまりません。そして、このフェロモンは強いため、小さな水槽ではフェロモンが水槽に充満して感覚がマヒし、群れが作れなくなるようですよ」(崎山さん)

なるほど。でも、毒を持つゴンズイが、群れを作る必要はあるのでしょうか。

「毒があっても気にせずに食べる大きな魚もいるので、小さなうちは襲われやすいんです。ゴンズイは泳ぐスピードも速くないですし、外敵から身を守るために幼魚は常に群れを作っています」(同)

それで小さいうちは密度の高い群れを作っているんですね。成長すると20~30cmほどになるというゴンズイ。食べられる危険性も減りそうですし、やはり群れる必要はなくなるのでしょうか。

「成長するにつれて群れの密度は緩やかになって単独行動もするようになり、ばらけていく傾向があります。また、繁殖期にはオスとメスのペアで生活します。成熟した魚の場合、群れでいる理由には繁殖の相手探しという面もあるのですが、ゴンズイは砂地や岩陰などすむ場所が比較的限られているので、ばらけていても相手を見つけやすいんです」(同)

そういえば、ボクら人間も集団行動は小学校のころがピークで、ゴンズイのように成長するにつれて機会は減っていきますね。ただ、大人になってもひとりぼっちの秋の夜長などには、ゴンズイの集合フェロモンがほしくなりますが…。 取り上げてほしい動物、ご意見などありましたら投稿ボタンよりおねがいします。

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