世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

サラリーマンの出世はどんどん難しくなっている!?

2011.01.20 THU

経済学ドリル


【問1】大企業における管理職のポストは05年と比べてどのくらい減少した?

(A)7.7%減(約8万人分) (B)17.3%減(約18万人分) (C)26.8%減(約28万人分)

【問2】大企業の課長の平均年収はどれぐらい(09年)?

(A)597万7000円 (B)797万7000円 (C)987万7000円

【解説】R25世代のサラリーマンにとって大きな関心事のひとつは社内での「昇進」でしょう。では、一体どれくらいの人が管理職のポストについているのでしょうか。厚生労働省『賃金構造基本調査(09年)』によると、従業員規模が1000人以上の大企業の場合、全社員(役員を除く)の82.2%が平社員となっています。一方、係長のポストにいる人は6.8%、課長のポストにいる人は8.0%、部長のポストにいる人は3.0%という割合です。管理職になると、平社員のころに比べて年収が大幅にアップするので、多くのサラリーマンは管理職への昇進を希望します。しかし、近年では管理職のポストが減少しています。なぜかといえば、業績低迷に直面した企業がコスト負担の大きい管理職を減らそうとしているからです。また、08年に起こったリーマン・ショック以降は管理職の年収も減っており、たとえば課長の年収についてみると、09年は前年比1.2%減で2年連続のマイナスとなりました。

[正解]問1: B 問2:C


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs 経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs 経済、地下経済など。著書に『中国経済の正体』(講談社現代新書)、『ゼロ円ビジネスの罠』(光文社)など多数

出世とは似て非なる「名ばかり管理職」



全体としてみれば管理職のポストは減少傾向にあり、過去に比べてR25世代の出世は難しくなっています。もちろん、管理職のポストを増やしている会社もありますが、かといって本当の意味で出世しやすいとは限りません。人件費を削減する目的で管理職のポストを増やしている会社もあるからです。人件費削減目的の管理職は「名ばかり管理職」と呼ばれ、社会問題にもなりました。会社が一部の従業員に対し、管理職(管理監督者)の肩書きを付与しておきながらも、実質的には採用や懲戒、解雇など重要な事項に関する権限や裁量を与えず、一般労働者と大差のない仕事をさせているような場合を指します。
「名ばかり管理職」となった従業員は、名目上は管理職となるため、残業代支払いの対象からは除外されます。その結果、長時間・低賃金労働を余儀なくされ、非管理職よりも単位時間あたりの賃金が下がるといういびつな状況が生まれてしまうのです。
その一方、企業側は、全社員に占める「名ばかり管理職」の割合を高めることで、全体の残業代を浮かせることができます。つまり、企業が人件費を削減するための便利な道具として「名ばかり管理職」が利用されているということです。労働基準法第41条は、管理監督者を、労働時間や休憩、休日に関する一般的な規定の適用対象外にすることを認めています。ただし、ここでいう管理監督者というのは、経営と一体的な立場にあることが前提となっており、企業内で課長以上の肩書きの付いた管理職であっても、待遇・処遇によっては、すべての管理職が管理監督者とみなされるわけではありません。ですから、「名ばかり管理職」は、場合によっては労働基準法に抵触する恐れがあります。サービス残業や過労問題が深刻化するのを防ぐには、行政側の対応によって一定の歯止めをかけることが必要です。

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