世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

「理系と文系」どっちが稼げる?

2011.02.17 THU

経済学ドリル


【問1】文系出身者と理系出身者の平均年収は?(30歳時点)

(A)文系が428.5万円、理系が494.2万円
(B)文系が428.5万円、理系が445.8万円
(C)文系が494.2万円、理系が428.5万円
(注)京都大学・同志社大学などのグループによる調査結果。

【問2】正社員で役職員についている人の割合は?

(A)文系が20.3%、理系が35.0%
(B)文系が20.3%、理系が27.1%
(C)文系が35.0%、理系が20.3%
(注)慶應大設計・解析センターの調査と西村和雄京都大名誉教授ら研究チームによる分析。

【解説】日本には従来「理系出身者は文系出身者に比べて給料が低い」という俗説がありました。この俗説が一因となって若者の理系離れが進んだともいわれます。しかし、最新の調査では、この俗説とは相反する結果が出ています。
たとえば、京都大学や同志社大学のグループが20代から60代までの大卒者1600人を対象に実施したアンケート調査(2010年)によると、文系出身者の平均年収が約583万円であるのに対して、理系出身者の平均年収は約681万円であることが判明しました。年齢別に見ても、すべての年齢で理系出身者の方が、年収が高いという結果になっています。転職する際の選択肢が、文系よりも理系の方が多い(文系は技術者への転職が難しいが、理系出身者は事務職への転職もできる)ので、理系出身者は転職しても年収が下がりにくいともいわれます。こうしたなか、自分の子供を将来理系に進学させたいと考える親も増えているようです。

[正解] 問1: A 問2:A


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs 経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs 経済、地下経済など。著書に『中国経済の正体』(講談社現代新書)、『ゼロ円ビジネスの罠』(光文社)など多数

若者の理系離れで企業の海外進出が加速!?



近年日本では、理系の大学進学率が低迷しています。背景には(1)理系の大学生が文系に比べて忙しく学生生活を十分に楽しめないこと、(2)理系の方が文系よりも相対的に学費が高くなっていること、があります。さらに「(大学・大学院卒業後に)就職しても文系に比べて年収が少ないうえ出世もままならない」といった俗説も若者の理系離れに拍車をかけているようです。なぜ、文系の方が理系よりも収入が高いという俗説が出来上がったかといえば、80年代後半のバブル期に金融業界で働く文系出身者の収入が極端に高くなっていたためです。しかし、バブル崩壊後はそのようなことはなくなりました。最新の調査では、俗説に反して理系出身者の年収は文系出身者よりも高く、役員などのポストにつく人の割合も理系出身者の方が高いという結果が出ています。なので、出世や年収という観点から見れば、現状では理系に進学する方がトクといえるのです。
理系進学者を増やすことは、日本の雇用を守るという視点からも重要です。というのも、日本の若者の理系離れが、企業の海外進出を加速させている側面があるからです。たとえば、日本の情報システム産業は、これまで大学から人材の供給を受けてきましたが、理系離れによって優秀なエンジニアの卵が不足してきたため、海外に業務委託をする必要に迫られています。実際、01年頃から少しずつ活路を見いだそうと、海外に業務を委託する企業が増えてくるようになりました。
では、若者の理系離れを止めるにはどうすればいいでしょうか。出世・収入面での俗説を否定することがひとつの有効な手段となります。また、それだけでなく、初等教育における理科の充実も対策としては有効でしょう。大人になってからの科学技術への関心度合いは、子供の頃の理科に対する興味と密接に関係するからです。

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