近頃DQNネームが話題だけど…

名前の改名って誰でもできる?

2012.08.20 MON


韓国では改名申請件数が2011年上半期だけで8万件を超え、その90%以上が許可されたとか。約5000万人という人口を考えると、改名経験者の割合は日本とは比べ物にならないほど高い。
「DQNネーム」「キラキラネーム」という言葉をご存じだろうか? 強引な当て字を使った名前や、アニメや漫画のキャラクターのような名前、奇抜な名前などの総称で、近年ネットを中心に使われるようになった。

ネット上にはDQNネームの例などを紹介するサイトが多数あり、テレビ番組でも、ユニークな名前を紹介する企画を目にすることも少なくない。また、なかにはDQNネームが嫌で改名したいという人もいるようだ。改名については、法律上、動機が「正当な事由」として家庭裁判所に認められれば可能なのだが、はたして「名前が奇抜だから」といった動機は正当な事由になり得るのだろうか? 永年にわたり家庭裁判所や地方裁判所の判事を務め、現在は弁護士として活躍する奥田総合法律事務所の奥田保先生にお話を伺った。

「改名できる可能性はありますよ。裁判所が認める正当な事由のひとつとして『奇妙な名である』という項目が設けられており、過去には、同様の理由で改名を希望した『無名男』『一寸六尺』『前川』『ヲシメ』などの名前について許可が出ています。ただし、改名を許可するほど奇抜な名前かどうかの判断は微妙であり、裁判官の感覚によって変わる場合があるのが実情ですね」

改名の正当な事由として認められるのは、「(1)奇妙な名である」のほかに「(2)難しくて正確に読まれない」「(3)同姓同名者がいて不便である」「(4)異性とまぎらわしい」「(5)外国人とまぎらわしい」「(6)(神官・僧侶など)営業上の目的から襲名の必要がある」「(7)性同一性障害により性別を変更した」など。過去には、(4)の理由で「春枝(男性)」という名からの改名が認められていたり、故・田中角栄前首相が逮捕された際に、同姓同名の少年が学校でいじめられることを理由に改名を申し出て、許可されたりした例もある。

なお、(2)~(5)の事由については、その名前により支障が生じた実績を具体的に説明しなければならない。たとえば(3)なら「近隣に同姓同名者がおり、ここ1年で○○回も郵便物が誤送された」などが挙げられる。

「また、正当な事由がなくても、実名とは別の名を通称名として永年使っていた実績があれば、改名も可能です。年賀状や契約書、公共料金の領収書などにより、おおむね5年以上通称名を使っていたことが証明できれば、高い確率で許可されますね。事情によっては、その期間が短縮される場合もあります」(奥田先生)

姓名判断や占いなどは改名の正当な事由として認められないが、それでも改名を希望する人は、通称名の実績を作って許可を得ようとすることが多いという。

なお、人の名前は年齢を重ねれば重ねるほど社会に普及していくため、改名申請は年齢が若い方が受理されやすいようだ。

ちなみに最高裁判所によると、昨年、全家庭裁判所で受けた改名の申請件数は6997件。そのうち2011年に改名を許可したのは5200件で、却下が405件、取り下げが1360件と、70%以上の申請が認められていた。過去のデータでは、昭和40年にはなんと1万2145件もの申請を受けており、実は改名の申請件数は年々減少傾向にある。また、改名許可の割合については昔からほぼ変わらず、高い確率で改名の申請は許可されている。

とはいえ、当然ながら改名は手間と時間のいる行為。だからこそ、確かな理由のある人のみが申請し、高い確率で受理されているのかもしれない。やはり、名前を変えるのは簡単なことではなさそうだ。
(河合力)

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