日本の話?いえアメリカの話ですが…

大卒給与減で再燃。大学進学価値は

2012.08.22 WED


「TIMES世界大学ランキング」や「QS世界大学ランキング」など主要な大学ラインキングでは常に1~2位にランクされるハーバード大学。現在までに70名以上のノーベル賞受賞者が輩出している 空 / PIXTA(pixta.jp)
ご存じの方も多いかもしれませんが、アメリカの私立大学の学費は非常に高額です。例えば名門ハーバード大学の学費と諸費用は年間5万2650ドル(400万円強 ※1ドル76円換算/以下同)。米国版のセンター試験SAT(Scholastic Assessment Test)を監督するCollege Boardによれば、私大の平均学費は年間2万7293ドル(200万円強)だそうです。

では公立(アメリカの場合、一般に公立というと州立大学です)ならば安いのではないか、と思われるかもしれませんが、あながちそうとも言い切れません。

長引く不況で予算が厳しい州政府は、公的事業、特に教育予算を年々削減。同時に大学の学費を引き上げています。過去10年間、全米の州立大学の学費は年率5.6%で上昇。私立大学の値上げ率3%を大きく上回っています。

特に私が住むカリフォルニアは州財政がひっ迫しており、州立大学の学費は毎年値上がりしています。例えばカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の学費および諸費用は約2万ドル(150万円強)で、私大とそれほど変わりません。

しかも、例えばハーバード大の場合なら、学生の60%以上がなんらかの奨学金を受け取っていますが、UCLAでは奨学金はあまり期待できません。

そのうえ州立大学では予算削減のために授業数が減っており、必要な単位を取得するのに4年以上かかってしまうケースも増えているそうです。つまり、学費がさらに1年分増えてしまうのです。

従来、大卒資格は、より高額な給与がもらえる職へのパスポートでした。しかし大卒初任給が2006~2008年には3万ドルだったのが、2009~2010年には2万7000ドルへと低下。ふくれあがる学資ローンと初任給の減少で、大学進学に価値があるのかという論議が再燃しているのが実情です。

こうした状況のなか、オンライン決済サービスPayPal共同創業者のひとりであるPeter Thiel氏率いるファンド「Thiel Foundation」が今年、大学を中退して起業に取り組む10代の若者20人それぞれに10万ドルを提供するという奨学金制度「20 under 20 Fellows」を立ち上げました。初年度となる今年選ばれた24人(20人に絞りきれなかったそう)は、今後2年間の期間中に与えられた10万ドルを使い、科学や技術分野での起業を目指します。Thiel側は資金を提供するだけでなく、豊富な人材ネットワークを活用し、若者たちにアドバイスを与えます。奨学金には世界中から400人以上の応募があったそうです。
(岡 真由美)

※この記事は2011年09月に取材・掲載した記事です

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