総工費は70億円!

自治体「ハイテク駐輪場」に熱視線

2012.09.10 MON


内部の様子。標準的な立体機械式駐輪場の深さは約15mで、1機あたり180台(18台×10段)を収容可能。葛西駅前の地下には、この駐輪場が36基も設置されている。(写真右下)入出庫ブース
自転車ブームの影響もあってか、近年は駅前の駐輪場の整備が進行中だ。大規模な地下駐輪場なども多数登場しているなか、特に注目を集めているのが、機械が全自動・高速で入出庫を行う立体機械式駐輪場だ。

入出庫ブースの前に自転車をセットすると、機械が前輪の車軸をキャッチ。ブース内へ引き入れ、空いているラックに自動収納する仕組みだ。自転車の出庫にかかる時間は15秒ほど…とスピーディー。収容台数の多さも前代未聞で、2008年に東京・葛西駅前に完成した駐輪場には、なんと6480台(立体機械式以外のタイプを含めると9400台)の自転車を収容できるという。この立体機械式駐輪場“サイクルツリー”を開発したJFEエンジニアリングに話を伺った。

「弊社のサイクルツリーは、上下動するリフトの周囲に、放射状に自転車を並べるもの。設置面積が最小限ですみ、収容効率も高いため、駅前の路上や公園内にも設置が容易なんです。また、登録した自転車にはICタグを取り付けるので、入庫時は自転車をセットしてボタンを押すだけ。出庫時もカードを通すだけです。自転車にカギをつける手間も不要と、利用者のメリットも多いんですよ」(JFEエンジニアリング・パーキングシステム部・竹内春樹さん)

立体機械式駐輪場は掘削面が小さいため、大規模な地下駐輪場に対して、工期が短く、建設費を節減できるのも特徴。それでも葛西駅地下駐輪場の総工費は、駅前広場の整備も含め70億円に及んだという。しかし自治体側によれば、それだけの投資に見合う効果は表れたそうだ。

「以前は駅前の放置自転車の整理、撤去、保管などに、区全体で年間約5億円の費用が必要でした。しかし立体機械式駐輪場の設置後、駅前の放置自転車は1358台から35台に減少し、その対策費を大幅に削減できました。駅前の景観が改善されたほか、緊急車両の通行も容易となり、安全面の環境も整いましたね」(江戸川区土木部駐車駐輪課・内藤康雄さん)

利用料金も月額1800円と、一般的な駐輪場と同程度のため、現在は利用率が90%を超えているという。なお同様の立体機械式駐輪場は同じ江戸川区内に3カ所あるほか、今年に入って東京都中野区、兵庫県西宮市にもオープン。全国ではまだ10カ所程度だが、今後はその数が増えていきそう。
(古澤誠一郎/Office Ti+)

※この記事は2010年10月に取材・掲載した記事です

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