1票を政策ごとに“分割”しちゃう!?

「web市民投票」が進化中

2012.11.15 THU


もともとは市長のマニフェストから生まれたきたもと市民会議。システム作成と本年度分6カ月間のサーバー代で、約120万円の費用がかかっている
“決められない政治”の招く政治的停滞が問題視されて久しい。「いっそ、大事な法案は国民投票で決めてしまえばいいのに」という声すら散見される。そんななか、これに似た試みをすでに行っている自治体が存在するのをご存じだろうか。

埼玉県北本市が10月1日から実施した「きたもと市民会議」は、市が行う新規事業の候補10件をホームページで公開。18歳以上の市民は1人につき3件まで、もしくは、事業費の合計が1000万円になるまで、賛成する事業を選ぶことができる。投票は郵送またはインターネット。上位の事業は市議会に提出され、そこでの承認を経て実際に事業が始まるといった仕組みだ。

特別に模擬サイトで投票をさせてもらったが、自分の意見を書き込んだり、他人の意見を読んだりできるので、いろいろと考えさせられる。自分の意見が変わったら、投票対象を変更できるのも面白い。

まだまだ珍しい北本市の取り組みだが、以前から似たような提案はなされてきた。東京大学特任研究員の鈴木健氏が提唱する“分人民主主義”もそのひとつだ。

「分人民主主義は、自分の票を分割して、複数の候補者や政策に投票したり、票を他人に委任したりできる民主制。議員に丸投げするのと違い、自分で意思決定することで、一票に対するリアリティが生まれるといったメリットがあります。きたもと市民会議は、票を分割できるという点が似ていますね。可能ならば、ネットに事業の情報を挙げるだけではなく、市民が実際に事業内容や現場を見られる仕組みを作れば、より意識が高まるのではないでしょうか」(鈴木氏)

鈴木氏いわく「きたもと市民会議も分人民主主義も、結局は有権者が政治に対して高い意識を持つことが必要」とのこと。一票にリアリティが生まれれば、徐々に意識も変わるはず。北本市の取り組みは、新しい民主主義への進化過程のひとつなのかもしれない。
(笹林 司)


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