「バスケットボールストリート」「リレーション」「ダサイ族」…

定着しなかった“改名”エピソード

2013.07.30 TUE


「バスケットボールストリート」に改名間もない頃の、渋谷センター街の様子。なお、現在では横断幕やオブジェは撤去されている模様。このまま静かにフェードアウトしてしまうのだろうか… 写真提供/時事通信社
「振り込め詐欺」が「母さん助けて詐欺」に“改名”されて早2カ月。その語呂の悪さもあってかどうにも定着する気配がないが、そもそも一度浸透した名前を変更し、再び認知させるのは簡単なことではないようだ。過去にも今ひとつ定着しなかった改名の事例は少なくない。

たとえば、東京渋谷の「渋谷センター街」は2011年9月、愛称を「バスケットボールストリート」に変更した。渋谷の「怖い街」というイメージを払拭し、若者のもつ情熱やクリーンなエネルギーを「バスケットボール」というスポーツの名前で表現したというが、当地はバスケットボールと深い縁があるわけでもなく、どこかピントが外れているような気も。商店街振興組合ではセンター街の入り口にバスケットボールのモニュメントを設営するなど、普及活動に努めているもののいまだ認知度は低いようだ。

同じくイメージ一新を狙った事例としては「ゲートボール」から「リレーション」への改名が挙げられる。ゲートボール=高齢者のスポーツというイメージを覆し、若者の競技人口獲得を図るため2人制、3人制に限って「リレーション」と変更。だが、「親しみやすさがなくなる」といった声もあ上がるなど評判はあまりよろしくなく、「リレーション」になって5年以上経った今も若者の競技人口が増えたという話は特に聞こえてこない。というより、そもそも改名の事実自体を知る人が少ない。

これとは逆に、あえてイメージダウンを狙う改名もある。沖縄県宜野湾署は2009年、暴走族の俗称を「ダサイ族」に変更すると発表した。なんともストレートなネーミングである。暴走族に憧れる若者に向けて、文字通りダサイ印象を植え付けることが狙いだが、報道機関などでは今も「暴走族」という呼称が使われており、定着したとは言い難い。

変わったところでは、「オーストラリア」と混同されがちな「オーストリア」の駐日大使館が、国名の日本語表記を「オーストリア」から「オーストリー」に変更したこともあった。しかしながら、国名表記を決める裁量権は日本にあり、公式表記を変更することは叶わなかったため浸透せず、いつしかフェードアウト。

また、肌着メーカーのグンゼが「更年期」を「オトナ思春期」としたり、流通大手のイオンが高齢者を「G・G(ジージー)」としたのは、ややネガティブな響きのある言葉をポジティブに言い換えることで市場活性化を狙ったケースだが、いずれも新たに提唱した名称が「かえってバカにしている」との不評を買い“悪目立ち”してしまった感がある。

せっかく名前を変えたのに、誰にも呼んでもらえずフェードアウトするのはなんとも悲しい。改名って難しいですね。
(前田智行)

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト