役所の仕事を民間が1円で落札の例も

「官から民への切り札」という「市場化テスト」って何?

2005.06.16 THU

「お役所仕事」のコスト削減とサービス向上を目的に、市場化テストのモデル事業が05年度から実施されている。市場化テストとは、役所の仕事を役所と民間が対等に競争入札し、価格やサービスで優れた方にその仕事を任せるという仕組み。名前の通り、お役所仕事の質を民間の市場競争でテストするのだ。英米では80年代から導入され、廃棄物の収集・処理、上下水道の管理、公共職業安定所の運営などを民間が効率化した実績があり、竹中大臣は「官から民への切り札」と呼んでいる。

民間の関心は高く、モデル事業案の募集には75の民間事業者から119件の提案があった。が、官側はかたくなに抵抗。当初モデル事業の対象だった社会保険事務所とハローワークの主要業務は厚生労働省が手放さず、結局モデル事業に決まったのは年金相談などの端っこ業務8事業。「民間では個人情報を保護できない」と官側は主張するが、社会保険庁では1500人もの職員が年金記録をのぞき見してたじゃない?

そんなこんなで始まったモデル事業のひとつで、企業に厚生年金加入を促す仕事を、東京都社会保険労務士会がなんと1円で落札した。成果に応じて報奨金が支払われる契約になっているため、成功報酬を見込んで1円で入札したという。社会保険庁の想定価格は約645万円。政府内では「サービスの質が下がる」との指摘が出たそうだ。

気になるのは、これまでに落札が決まった4事業のどれにも、官側は入札に参加していないこと。市場化テストは規制緩和とともに、官業へのカンフル剤としての意味も持つはずだが、入札しなければ単なる丸投げと同じだ。それに加えて、最低入札価格というルールもないのだから、過剰なダンピング合戦をまねく恐れすらある。

この制度を形骸化させないためにもルールを再整備し、官の中核事業こそ積極的にモデル事業にしていくべきだ。官と民の切磋琢磨によるサービス向上こそが望まれることなのだから。

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