フランスとオランダが拒否したのはなぜ?

EU憲法にはどんなことが書かれているの?

2005.06.30 THU

再来年の発効を目指して既に10ヵ国で批准されたEU憲法が、フランスとオランダの国民投票で否認された。EU憲法とはどのような内容で、両国の国民はなぜ否認したのか。

EUはこれまでローマ条約、ニース条約など7つの条約に基づいて運営されてきたのだが、それでは複雑すぎて諸事やりにくくなってきた。さらに目下EUは東欧へ拡大中で、昨年5月にポーランドなど旧東欧諸国を加え15から25ヵ国になり、今年4月にはルーマニア、ブルガリアとも加盟条約を結び、10月にはトルコとの加盟交渉も始まる。加盟国が増えても混乱なく効率的に運営できるように、既存の条約を一本化・合理化して新条約をつくろう、ということで出来たのがEU憲法なのだ。

で、その主な中身はというと――、1.求心力を強めるため、大統領と外相ポストを新設して対外的な「顔」をつくる。2.意志決定の滞りを防ぐため、加盟国数の55%以上が賛成し、賛成国の人口の和がEU総人口の65%以上を満たすことを要件とする『二重多数決方式』を採用する。3.政策決定の円滑化のため、多数決の適用範囲を拡大、各国の拒否権行使を限定。4.執行機関の欧州委員会の委員数を1国1人とし、2014年以降は加盟国数の3分の2に減らす。――といった感じである。

公平を期し運営を円滑にするための工夫が見られる。フランスとオランダの国民が否認したのはなぜ? と疑問が浮かぶ。

なぜか――両国の反対派は、EU憲法がどうこうの前に、EUの東欧拡大そのものを拒否しているからだ。労賃の安い東欧への工場移転や東欧からの労働力流入による失業問題悪化への懸念が、その主な理由だ。

EU憲法の発効には全加盟国の批准が必要だ。フランスやドイツは否決国の再投票に期待するが、イギリスは国民投票の凍結を表明。雲行きはますます怪しい。これまでEUは政府間の決定で動いてきた。初めて突きつけられた国民の生の拒否の声を前に、EUが迷走している。

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