会議は踊る、されど進まず…

国民投票は目前、イラク新憲法の中身とは?

2005.09.16 FRI

イラクの新憲法の草案が紆余曲折を経て誕生した。当初の日程では8月15日に国民議会で承認採決されるはずだったが、22日、25日と延期され、28日にようやく議会の採決へとまわされた。新憲法成立の可否は10月の国民投票で決まるわけだが、起草・採決がこんなふうに延期されたのはなぜか?

イスラム教シーア派とクルド人は起草過程で合意に至ったものの、スンニ派が最後まで草案への合意を拒否したことがその理由だが、では、新憲法の草案はどんな中身で、両者はどんな理由で対立したのか?

新憲法草案は、フセイン旧政権下の中央集権的体制を、北部のクルド人、中部のスンニ派、南部のシーア派による連邦制に変えると明示しているのだが、これにスンニ派が猛反発。というのも、北部と南部はイラクの産油地域なのだが、スンニ派が支配する中部は不毛な砂漠地帯。連邦制では石油による富の配分に不公平が生じるとして、スンニ派は中央集権を主張しているのだ。

イスラム教の扱いでも衝突があった。イスラム教を「主要な法源」としたいシーア派と、「法源の一つ」に抑えたいクルド人が対立。草案の文言は間をとって「主要な法源の一つ」となったが、イスラム法に反する法律の制定を禁止する旨の文言も盛り込まれた。これに対し欧米諸国からは「女性の権利が制限される」との批判があるが、草案にはクルド人の要求で、25%以上の女性議員枠を設けることも記されている。

もう1点、大きな対立があったのはフセイン旧政権下での支配政党だったバース党の排除についてだ。スンニ派はバース党で重用されていたため、新憲法の「脱バース党」の方針に反発。結果、草案では「サダムのバース党」と表記され、スンニ派の中でも反フセイン派は公職追放を免れた。

連邦制については依然スンニ派が拒否しているため、10月の国民投票で草案が否決される可能性も高い。武装勢力による新憲法がらみのテロも相次いでいる。イラク戦争の余震はまだ続いている。 

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