歴史に残る日となるか?

イスラエルのガザ地区撤退中東和平は前進するのか?

2005.10.13 THU

イスラエルは9月、ガザ地区の全入植地とヨルダン川西岸の4つの入植地からの、約8500人のユダヤ人入植者の撤退を完了した。これらの入植地は1967年の第三次中東戦争でイスラエルが占領した地域の一部で、パレスチナ紛争の火種の一つ。イスラエルが入植地を手放すのはパレスチナ占領地では初めてであり、今回の撤退は中東和平の歴史的な一歩と言える。だがイスラエルは入植政策を放棄したわけではない。

中東和平に向けた取り組みとしては、03年に国連や米国などが仲介に入り「新和平案」を策定、05年までにパレスチナ暫定国家を樹立し恒久和平を目指すとの合意がなされた。が、この新和平案は反対派のテロが相次ぎ事実上停止。今回のガザ撤退も新和平案に基づくものではなく、イスラエルのシャロン首相の一方的な決定だった。

 しかも、撤退した入植者の数は、入植者全体のごくごく一部に過ぎない。ヨルダン川西岸には130カ所の入植地に23万人の入植者が住んでおり、イスラエルは現在この西岸地区の入植地を取り囲む700kmの「分離フェンス」を建設している。

ガザ地区では8000人のユダヤ人が140万人のパレスチナ人に囲まれる形で暮らしていた。パレスチナ過激派からユダヤ人を守るためにイスラエルは膨大な軍駐留費を投じてきた。その警備費を削ることがガザ撤退の本当の目的であり、シャロン首相は小さくて金のかかるガザを捨て、ヨルダン川西岸の併合を狙っているのではとの見方もある。そもそも入植地の建設は、ジュネーブ条約で禁止されている違法行為。国際司法裁判所は、イスラエルの分離フェンス建設も国際法違反だと勧告している。

ガザ地区は高失業率と貧困という問題を抱えている。パレスチナ自治政府のアッバス議長には今後、ガザ地区の治安と経済の回復と、過激派の抑えこみが期待される。

ガザ撤退が和平に向けた大きな一歩となるのか、あるいは後退となるのか。新しい「歴史」がいま動いている。 

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