自民党が「新憲法草案」を発表

憲法のどこをどういうふうに変えようとしているの?

2005.12.01 THU


憲法改正がいよいよ現実味を帯びてきた。先日、ついに自民党が現在の日本国憲法を大幅に変える「新憲法草案」を正式に発表―。結党以来、長いあいだ憲法改正を悲願としてきた自民党だが、今回のように改正案を条文化までしたのは初めてのことだという。

では今回の新憲法草案、現行憲法と比べてどこがどう変わったのか。最大の注目ポイントは、なんといっても「前文」と「9条」の内容だ。前文とは憲法全体の理念を示すもので、現行憲法では国民主権、基本的人権の尊重、平和主義がうたわれ、この前文を受けて9条の1項で戦争放棄、2項で戦力の不保持、交戦権の否認が明記されている。ところが、このふたつ、草案では大きく変わってしまっているのである。

まず前文をみると、基本理念はそのままだが、表現は全面的に書き換えられていて、たとえば《国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有》と国防意識や愛国心を国民に求めたり、押しつけではない自主憲法であることも強調。また問題の9条では、2項の戦力不所持と交戦権否認がまるごと削除されていて、あらたに「自衛軍」の保持を明記。しかも任務の内容についても細々と書かれている。つまり、戦争放棄をうたいながらも軍隊を持ち、集団的自衛権や武力行使もOKというわけで、このままでは「自衛軍」にあらためられる自衛隊は、イラク戦争のような事態が起きれば国際協力の美名のもと、どんどん戦争に参加することになるんじゃないか
―と、こんなふうにも思えてしまうのだ。

おいおい、平和憲法はどこにいったんだと思わず不安になってくるが、もっともこれはあくまでも改正のための「たたき台」にすぎない。本当の議論はむしろこれからなのだが、しかし、この自民党の新憲法草案によって憲法改正に向けたムードが高まったことだけは確かだろう。1946年の制定以来、護憲派と改正派のあいだで揺れ続けてきた日本国憲法は、いま重大な一歩を踏み出したのかもしれない。

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