いまや85万人というけれど…

「ニート」って本当に社会問題なの?

2006.02.23 THU

子どもをニートにするな」「ニートにならないために」「ニートを救え!」――こんな標語が最近増えている。揚げ句の果てには「恋愛ニート」やら「社内ニート」なんて造語もできる始末で、いつの間にやら「ニート」は「困った若者」を表す差別語として定着してしまったようだ。

でも、なんだかヘンじゃないか。「ニート」とは、学校に在籍せず、就労活動をしていない15歳~34歳の若者を意味する言葉で、別に「困った若者」のことじゃない。就労できない理由だって、さまざまにあるはずだ。そんな違和感を持っていた矢先に出合ったのが『ニートって言うな!』(ちくま新書)なる1冊。

本書によれば、ニート増加の主たる理由は、働きたい希望はあるけど、具体的な求職活動をしていない層の増加によるところが大きいという。逆に、そもそも働く意欲がない人や働く必要のない人という層は、ここ10年でほとんど変化がない。

したがってニートの増加は、働きたいのに働けない状況になったこと、すなわちデフレ不況によって若年労働者の採用が縮小したことが大きな理由なのだ。よって問題の根っこは、フリーターや失業者の増加と同じ。早い話がニート問題は本人のヤル気云々ではなくて、経済環境や労働市場こそが主要因だというのが本書の主張である。

「ニート」のイメージがここまでネガティブになったことには、メディアや有識者が無自覚にこの言葉に飛びついた責任もでかい。ったく、働きたくても働けない若者にとっては迷惑千万な話。「ニートって言うな!」とも言いたくなる。

じゃあ、どうしたらいいの? というと、これはなかなか難しい。労働市場に政府が積極的に介入することをよしとする人もいれば、景気回復によってフリーター、ニート問題は解消するという見方もある。ともあれ、ニート・キャンペーンには要注意。不況のツケを若者の「意欲」で払わされちゃ、たまりませんもの。

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