セクハラ裁判で約212億円!?

Q.アメリカの損害賠償金ってなんであんなに高いの?

2006.06.08 THU

「そもそもアメリカと日本では、生命、自由、名誉などの『値段』に大きな差があるんです」とお答えいただいたのは、英米法に詳しい中央大学教授の長内了センセイ。

「もし私が米国で車を運転中に死亡事故を起こせば、少なくとも億単位の損害賠償を覚悟しなければなりません。つまりアメリカでは、不法行為責任に対する経済的評価が日本よりもはるかに高いということです」

とはいえ、最近ニュースで話題になった裁判では、セクハラ被害に対して約212億円もの損害賠償請求がなされましたが、いくらなんでも高すぎる気がします。

「その最大の理由は、英米法に特有の『懲罰的損害賠償』という制度にあります。これは加害者の不法行為に強い反社会性が認められる場合、通常の損害賠償(『填補的損害賠償』)に加え、制裁的な賠償額を加算するというもので、悪質な加害者に『お灸を据える』という意味では、刑事裁判で科される罰金と変わりありません」

 事実、件のセクハラ訴訟では、填補的損害賠償分の約44億円に対し、懲罰的損害賠償分が約168億円という内訳。被告が社会的影響の大きい企業であればあるほど、原告から高額の懲罰的損害賠償が求められる例が多いのだとか。ところで、日本には懲罰的損害賠償ってないんでしょうか?

「日本では、刑事裁判と民事裁判の機能目的を明確に分けているのでありません。不法行為はあくまでも被害者の救済を目的とする民事裁判の対象であり、加害者に対する制裁・処罰は、刑事裁判の役割なのです。ゆえに両者の機能を混在させる懲罰的損害賠償はわが国では認める余地がないと、平成9年の最高裁判決は断言しています」

確かに、懲罰的損害賠償を認めると、社会的な罰金が、訴えた人のものになっちゃうわけで…。それって騒ぎ得ですもんね。

以上、長内教授のお話のほんの一部でした。ともかく「懲罰的損害賠償があるから」、が、クエスチョンの答えってことで間違いなさそうです。

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト