交通事故死の5倍になるらしい…

「自殺対策基本法」は自殺増加の抑止力となるのか?

2006.07.27 THU

昨年の数、3万2552人。なんの数字だかわかるだろうか? 日本における自殺者の数だ。これは交通事故死の約5倍に上り、さらには自殺未遂や自殺者の親族など”自殺による間接的な被害者”までを含めると、その数は10倍に膨れ上がるという。

自殺が急激に増えたのは98年から。それまで年間約2万5000人だったのが、3万人以上にまで跳ね上がった。98年といえば、不況によるリストラが目立ちはじめた時期。警察庁によると、この年の自殺の動機で一番多いのが「心身の健康問題」、続いて「経済的な問題」だそうだ。しかしこれは自殺問題の表面を捉えたものであり、実態を掴んでいるとはいえないという。

「自殺の原因は一概に言えるものではありません。様々な要因が複雑に絡み合い、蓄積された結果なのです。例えばうつ病が直接的な原因であっても、その裏にはリストラや家庭問題など、様々な問題が存在します」(国立精神・神経センター・竹島氏)

つまり、自殺者の数が3万人を超えて8年もたった今でさえ、「自殺」とはなんだかよくわからないままなのである。

そこでようやく国が動き始めた。6月15日に成立した自殺対策基本法だ。これは自殺を個人の問題としてではなく、社会的な問題として国全体で対策に取り組むというもので、ポイントはふたつある。不透明な自殺の実態を把握すること。そして国や自治体、民間団体、医師などが連携し、総合的な対策を講じる枠組みを提示したことだ。

しかし、この法律の条文を読んでみても具体的な対策は書かれていない。

「この法律は基本法であり、理念や枠組みを規定するもの。細かく条文で取り組みを定める性質のものではないです。しかし、これでずっと放置されてきた自殺問題に切り込む足場ができました。これからが正念場です」(NPOライフリンク代表・清水氏)

対策はようやくスタートラインに立った。やっと踏み出した一歩、形だけの法律にして欲しくないものだ。

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