昭和天皇の発言メモでクローズアップ

「A級戦犯」の分祀問題っていったいどういうことなの?

2006.08.31 THU

小泉さんの総理就任以来、国内外でずっと議論を呼んできた「靖国問題」。この夏、6年目にして小泉さんが初めて8月15日に参拝したことで靖国問題はひとつのピークを迎えたが、その一方、靖国神社をめぐってはあらたな問題も浮上してきている。それは、いわゆる「A級戦犯」の分祀問題――。そう、新聞で昭和天皇の発言のメモが報じられ、大きくクローズアップされたあの問題だ。

そもそも「A級戦犯」とはいったいなんなのか。じつは、A級とかB級、C級というのは罪の大きさのことではない。BC級戦犯は民間人殺害などの通常の戦争犯罪を問われた人たちのことだが、これに対してA級戦犯というのは、戦後の極東国際軍事裁判で、戦争を計画・実行した「平和に対する罪」で有罪になった政府首脳や軍部の指導者のことを指す。つまり、戦争の首謀者として裁かれたわけで、A級戦犯とされたのは東条英機元首相ら28人。このうち、絞首刑などになった14人を靖国神社が合祀、いまも「英霊」として祀っているのだ。

そして、靖国参拝が政治問題化したポイントのひとつもここにある。たとえば、中国は日本の戦争責任について、戦争は少数の指導者がおこなったもので日本国民に罪はない、と表面上は賠償を求めなかった。にもかかわらず、日本の首相が戦争指導者だったA級戦犯を祀る靖国神社を参拝すれば、侵略戦争の肯定にもつながり、「中国人民の感情を傷つける」という理屈だ。だから、中国は日本の首相の靖国参拝に強く反発し、日本の政府・与党内からもA級戦犯を分祀すべきという声がでてきたのである。

もっとも、だからといって分祀が簡単にできるわけではない。現在の靖国神社は戦前の国家神道ではなく、あくまでも一宗教法人。その靖国神社に分祀を強制することは憲法上の政教分離の原則に反するおそれがあるし、なにより、遺族をはじめとする人たちの「心の問題」もある。政治の問題と心の問題、靖国はつねにこのふたつのあいだで揺れ続けているのだ。

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