格差問題解決の切り札になるか?

英ブレア首相の「第三の道」から日本が学ぶものとは?

2006.11.02 THU



写真提供/時事通信
「構造改革」を旗印にした小泉政権を振り返ってみると、80年代に英国経済の立て直しを図ったサッチャー政権とよく似ている。サッチャーの首相就任以前、英国は「ゆりかごから墓場まで」という手厚い福祉国家政策が経済の大停滞を招き、国家財政もボロボロの状態に陥っていた。

 このピンチを打開すべく、サッチャーが推し進めたのが「小さな政府」への方向転換だ。国有企業の民営化、金融市場のビッグバン、法人税の引き下げなど、市場原理を追求したその政策は、小泉政権と同様、「官から民へ」を促すものだった。しかし同時に、サッチャー首相(そしてその後を継いだメジャー首相)の福祉削減は教育や医療サービスの低下、若年失業者の増大、格差拡大といった問題を引き起こすことになる。

 そこに登場したのが、97年から政権を握った労働党のブレア首相だ。労働党は、もともと「生産手段の国有化」を掲げる党だったが、彼はその綱領を改正し、時代遅れの印象が強かった「社会主義政党」からの脱却を強烈にアピールした。代わって彼が示したのが、「効率」と「公正」を両立させる「第三の道」というコンセプトだ。

 なかでも、ブレアが力を注いだのが教育の再生だった。児童扶養控除をはじめとした子育て支援、若年失業者の就労支援など、サッチャー流構造改革の犠牲者となった低所得者層に対して、自立支援策を次々と打ち出したのである。

 ブレア改革のポイントは、「結果の平等」ではなく「機会の平等」を強く打ち出した点だ。「福祉から就労へ」という標語が示すように、ブレアは、福祉依存ではなく、就労による自立を国民に求め、そのためにお金を使った。

 安倍首相も、「教育再生」や「再チャレンジ支援」を謳っている点で、ブレア改革との類似点も多い。不況のワリをくらったR25世代にとって、安倍流「第三の道」の行方は他人事ではない。


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