「守りの農業」から「攻めの農業」へ

安倍内閣が挑む農業改革の中身とは?

2006.11.30 THU



写真提供/時事通信
これまで日本は、外国産のコメなどに数百%という高い関税をかけ、輸入を阻止し、国内の農業を守ってきた。が、この「守りの農業」から「攻めの農業」への転換を安倍内閣は標榜している。生産性を上げ、日本産農産物を安くて高品質にする。国際競争力をつけ、輸入をし、輸出もがんばる。2005年の日本産品の輸出額は約3300億円。安倍さんは2013年までにこれを1兆円規模へ伸ばす計画だ。

「攻めの農業」の言い出しっぺは、実は小泉さんで、今年6月には農政改革法を成立させている。この法律は、農地面積の大きい農家・団体に補助金を集中させ、大規模経営を奨励し、生産を効率化するのがねらい。安倍さんはこれをおし進め、ゆくゆくは関税削減などにも踏み切るつもりだ。

しかし、なぜ今、農業改革なのか?

理由は、「経済成長に必要だから」。安倍内閣は、経済成長で儲けたお金で財政を再建する戦略だ。経済成長のためには、外国に日本産品をもっと買ってもらいたい。だが、日本が外国産品に高い関税をかけているように、外国も日本産品に関税をかけている。だったら、お互いに関税などの国境措置をゆるめて、貿易を活発にして、ともに経済成長しよう。ということで、各国は、関税率や輸入数制限を緩和する「経済連携協定(EPA)」の締結を加速している。

だが、日本の場合、農産物の輸入の高関税や数量制限が、EPA締結のネックとなってきた。日本がEPAを発効しているのは3カ国だけ。かたや、中国と韓国はすでにASEANの10カ国とEPAを結んでいる。このままでは日本は孤立する。農業改革は、EPA網拡大の必須課題なのだ。

が、現在、首相が国境措置の撤廃を唱えるのに対し、農水相は競争力強化が先決だと主張。内閣も一枚岩ではない。それに何より、この改革が、小規模農家の切り捨てや失業につながらないかが心配だ。農家の田畑への愛着と、国の経済成長。どちらも大事にする道はあるのだろうか。


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