医薬品の通信販売規制で耳にした

日本古来から伝わるという「伝統薬」の中身は何?

2009.04.09 THU



写真提供/全国伝統薬連絡協議会
2月に公布された「薬事法施行規則等の一部を改正する省令」が物議をかもしている。施行されると、医薬品の通信販売が大幅に規制されるためだ。ところで、この省令に関する一連の報道のなかに1000年以上続く日本の伝統薬の存続が危機にさらされているというものがあって、気になった。1000年以上も続く日本の伝統薬って、何?

「伝統薬とは、各地方の神社・仏閣や、人々の生活のなかで経験的に確立された伝統医学で使われる薬です。化学物質ではなく草根木皮、動物など自然のなかにあるものを調合して作られています」とは、全国伝統薬連絡協議会会長の加次井商太郎氏。日本での歴史は紀元600年代にさかのぼり、もともとは山岳仏教の修験者が仏教の教えと共に人々に施していたのだという。

「後に神社・仏閣が商品としても売り出し、作り方も庶民に広まっていきました。飲み薬なら風邪や頭痛、腹痛の薬、解毒剤、傷やあかぎれに効く塗り薬もありますし、膏薬も江戸時代には誕生しています」(同)

生薬という点では中国の漢方薬に近い存在で、実際に、漢方薬を扱う薬局でも売られていたりする。

「通販でも店頭販売でも、販売できるのは国の免許を持っている薬剤師等。伝統薬を常用されている方にとってはかかりつけ医のような存在です。検査が必要な症状であれば、医師の診断をお勧めしています」(同)

また、伝統薬のなかには、製造工程を工業化して広く流通しているものもある。栃木の宇津救命丸、秋田発祥の龍角散などだ。

「しかし伝統薬の多くはその地方の風土にあわせて、そこで採れる材料を元に、家内工業で作られており、大量生産が困難で、直接お店で買う以外は通信販売が中心となっています」(同)

通販規制で思わぬとばっちりを受けようとしている伝統薬は、我が国の風土に根ざして生まれ脈々と伝えられてきた、いわば日本の文化や心を今に伝える文化財のひとつといえるかもしれない。


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