世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

“原子力”を考える

2011.04.07 THU

理化学ドリル


写真提供/Newscom/アフロ 写真は世界最大の電力会社、フランス電力公社(EDF)が保有する原子力発電所。石油、石炭、天然ガスなどの資源に乏しいフランスでは、原子力発電を軸としたエネルギー政策が推進されている
【問1】原発依存度が高いとされるフランスでは、電力エネルギー供給の何割を原子力が占めている?

A. 約53% 
B. 約65% 
C. 約76%

【問2】放射線のうち、β線の正体は電子、γ線の正体は光。では、α線の正体は?

A. 中性子 
B. ヘリウムの原子核 
C. 水素の原子核

【解説】
東北関東大震災でお亡くなりになった方々に心から哀悼の意を表し、被災された方々が一刻も早く、元の生活に戻れるよう、お祈りしたい。
今回の震災では、福島第一原子力発電所が、津波により電源系を破壊され、毎日のように原発事故や放射性物質のニュースが報道され、日本人全員が不安な日々を過ごすことになった。
ところで、世界一の原発国は日本でもアメリカでもなく、フランスである。フランスは発電の76%を原子力に頼っている。また、ベルギーが54%、スイスが39%、スウェーデンが42%、韓国が36%で、日本が29%、ドイツが28%程度だ。ドイツは脱原発を謳っているが、実は隣国フランスの原子力発電に頼っており、各国とも実質的な原発への依存度は高い。今、世界が、福島第一原子力発電所に注目している。

※文中の数値は、経済産業省「エネルギー白書2010」より

[正解] 問1: C 問2:B


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

目には見えない“放射能”の正体とは?



学校では、放射線として、α、β、γの3種類を教わる。これは、放射線の正体が不明だったときの命名の名残だ。放射線には、このほかに中性子線や重粒子線と呼ばれるものがある。
α線は紙一枚で遮蔽することが可能だ。β線は数ミリの厚さのアルミで防ぐことができる。γ線は、病院で撮影するX線よりもエネルギーが強い「光」なので、なかなか遮蔽できない。また、中性子線は、非常に透過率が高く、水と反応するため、身体の60%以上が水分である人間は、極力、避ける必要がある。
ところで、放射能という言葉があるが、これは文字通り「放射する能力」を意味する。空気や水で運ばれるのは「放射性物質」であり、この放射性物質が壊れるときに出るのが放射線だ。
今回の原発事故で注目されたのが、ヨウ素131とセシウム137だ。この数字は原子核の「重さ」を意味する。重さが235のウランが壊れて、小さな原子核になったのだ。壊れやすい不安定な原子核が「放射性」と形容される。
原子核の壊れやすさ(壊れる頻度)を「半減期」という。たとえばヨウ素131の半減期は8日程度なので、1週間ほどで半分が壊れてしまう(壊れる際に放射線を出す)。セシウム137の半減期は約30年だ。一概に半減期が短いから安全とはいえない。短い間にまとめて放射線を出すかもしれないからだ。
食べたり飲んだり吸ったりして、放射性物質を体内に取り込むと、そこから放射線が出続けるのでとても怖い。皮膚についた放射性物質は洗い流せばいい。政府が指定した避難範囲に近い人は、マスクをしたり、外出を控える必要がある。いたずらに怖がる必要はないが、とにかく、放射性物質を体内に入れないことを第一に心がけたい。

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