世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

さよなら、スペースシャトル

2011.06.16 THU

理化学ドリル


写真提供/NASA 写真は、世界初の宇宙軌道飛行を成功させたスペースシャトルコロンビア号が、地上に着陸した瞬間だ。1981年4月12日に米フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられたコロンビアは、高度307kmの軌道上を36回にわたって周回し、4月14日に帰還した。同機はその後27回宇宙へ飛んだが、2003年の事故で宇宙飛行士7人の命とともに失われた。
【問1】今年7月に退役するスペースシャトルは、初フライトからの30年で何回宇宙に行った?

A. 約130回
B. 約150回
C. 約170回

【問2】スペースシャトルの後継機となる米宇宙船は4人の飛行士が何週間飛行する予定?

A. 1週間
B. 2週間
C. 3週間

【解説】
スペースシャトルの退役には、いろいろな理由があるが、やはり高コストと安全面の問題が最大のネックになった感がある。
くりかえして使うことができるため、使い捨てロケットよりもコストが大幅に下がると期待されたが、1回の打ち上げが(予備機を含めて)約800億円にまで膨らんでしまった。これは、日本のH2Aロケットの約10倍である。もちろん、7人の宇宙飛行士と30トンの荷物を運ぶことができる能力は大きいが、さすがのアメリカも音を上げた。
スペースシャトルは1986年のチャレンジャー、2003年のコロンビアの2つの大事故を経験した。ほぼ10回のミッションで1人が死ぬという、とんでもない死亡率だ。かくして、宇宙ステーションの建設に大きく貢献したスペースシャトルの歴史は幕を閉じた。

[正解] 問1: A 問2:C


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

スペースシャトル引退後、人類の宇宙開発はどうなるの?



スペースシャトルの「後継機」の事情は複雑だ。スペースシャトルは、国際宇宙ステーションまで宇宙飛行士を往復させ、物資を運ぶだけでなく、国家機密の軍事任務も負っていた。「なんでも屋」だったわけだ。
今後しばらくの間、国際宇宙ステーションへの宇宙飛行士の往復は、ロシアのソユーズ宇宙船が担うが、やがて、SpaceX社のFalcon9ロケットと、それによって打ち上げられるDra
gon輸送宇宙船に引き継がれる予定。アメリカは宇宙飛行士の送迎を民間会社にまかせるのだ。
宇宙ステーションに物資を運ぶ役目は、ロシアのプログレス輸送機、欧州補給機、日本の「こうのとり」が担うことになる。日本のこうのとりは、今のところ使い捨てだが、地球に帰還できるタイプも開発中で、将来的には有人飛行も視野に入れている。
軍事面では米空軍が開発中の「無人スペースシャトル」X─37
Bが注目されている。スペースシャトルより小型で無人だそうだが、いったいどんなミッションに使うのか、その詳細は秘密のベールに包まれている。
また、オバマ大統領がぶちあげた、2030年代の有人火星探査のためには、「オリオン」という宇宙船をもとに、まずは4人で3週間、試験飛行を行う。オリオンは、もともとブッシュ政権時代に月探査、それから宇宙ステーションからの緊急脱出用に開発されていたが、政権交代とともに、急きょ、火星探査に転用されることになった。火星までの旅は半年以上かかるので、オリオンに居住空間を増設する必要があり、安全性も含め、なかなか大変なプロジェクトになりそうだ。

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