世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

超新星爆発で何が消える?

2011.11.17 THU

理化学ドリル


この画像は、約330年前に超新星爆発を起こした「カシオペア座A」の残骸を、スピッツァー宇宙望遠鏡(赤)、ハッブル宇宙望遠鏡(黄)、チャンドラX線観測衛星(青)の3つの観測データをもとにイメージ化したもの。地球から1万光年離れた銀河系で起こったこの爆発の放出物質は、約10光年にわたって広がっているという
写真提供/NASA / JPL-Caltech / O. Krause (Steward Observatory)
【問1】近い将来起きると予想されている、オリオン座・ベテルギウスの超新星爆発。これが起きると地球はどうなる?

(A) 星が1つ消えるだけ(オリオン座の“肩”がなくなる)
(B) 地球の生命が絶滅する
(C) 2週間ほど夜がなくなる

【問2】現在、ベテルギウスの大きさはどれくらい?

(A) 太陽と同じくらい
(B) 太陽の100倍くらい
(C) 太陽の1000倍くらい

【解説】
オリオン座といえば冬の代表的な星座だが、その肩にあるベテルギウスが、超新星爆発を起こすらしい。ベテルギウスは、全天で9番目に明るい星だ。近い将来といっても、ベテルギウスは、来年爆発するかもしれないし、千年後に爆発するかもしれない。

超新星爆発は、星の寿命が尽きて死ぬときの断末魔の叫びみたいな現象。周囲25光年(光の速度で25年かかる距離)は衝撃波によって、壊滅的な打撃を受けるともいわれている。ちなみに、地球は640光年離れているから、直撃は免れそうだ。

超新星は明るく、2週間ほど、まるで太陽が2つになって、夜もなくなるのではないかといわれている。それ自体は心配ないが、同時に飛来するγ線がオゾン層を傷つけるため、紫外線や宇宙線に気をつけないと、皮膚ガンが増えるおそれがある。

[正解] 問1:C 問2:C


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

地球から夜がなくなる日も近い?



ベテルギウスは、「赤色超巨星」に分類される。その大きさは想像を絶するもので、なんと、太陽の1000倍。太陽系にもってきたら、木星の軌道にまで広がるほど大きい。このように大きく膨らんだ星は、その最期が近いことを意味する。
超新星爆発が起きると、様々な物質のほかに、可視光やX線やγ線やニュートリノなどのエネルギーが周囲に放たれる。上の解説で、地球は遠いから爆発の直撃を免れる、と書いたが、それはエネルギーで焼き尽くされることはない、という意味にすぎない。可視光は、しばし地球から夜を奪い、X線やγ線はオゾン層を傷つける。ニュートリノも大量に地球に降り注ぐが、ほとんど物質と反応しないで、地球を通り抜けてしまう。
怖いのは、γ線バーストと呼ばれる現象だ。これは、超新星爆発の際に、星の自転軸に沿って、上下方向に強力なγ線のビームが放出されるもの。ベテルギウスは地球から640光年離れているが、この距離ではγ線バーストが地球の方向を向いている場合、地球の生命は絶滅するといわれている。NASAがベテルギウスを精密に観測したところ、その自転軸は地球の方向から20度くらいずれていることがわかった。だから、γ線バーストが地球を直撃する“最悪の事態”にはならないようだ。
1987年に、大マゼラン雲で超新星爆発が起きて、日本のカミオカンデという施設が、飛来した大量のニュートリノをとらえたが、16万光年の彼方で起きた爆発だったので、一般の人が気づくことはなかった。もし、ベテルギウスが超新星爆発を起こしたら、ほどよい距離にあるため、世紀の天文ショーになるだろう。できれば、私の目の黒いうちに爆発してもらいたいものだ。

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