世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

火星探査の最前線!

2011.12.15 THU

理化学ドリル


写真は、現地時間の11月26日に火星に向けて飛び立った米国の探査機「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」。ハイビジョンカメラやロボットアームはもちろん、掘削ドリル、レーザー発射装置、X線を使った解析機器など、観測・採取・分析のための様々な装置を使って生命の痕跡を探す
写真提供/NASA/アフロ
【問1】火星への有人探査、往復にかかる時間は?

(A)1年半
(B)2年半
(C)3年半

【問2】火星に生命の可能性が取りざたされている根拠は?

(A)火星の北極付近で氷が発見された
(B)火星からの隕石に細菌が含まれていた
(C)火星には酸素が豊富にある

【解説】
去年2月に「火星」に到着した6人の宇宙飛行士たちは、520日の滞在期間を終えて、11月初めに「地球」に帰還した…といっても、実際の火星ではなく、ロシアのモスクワ郊外につくられた施設のお話である。将来の有人火星探査に向けて、長期にわたる宇宙船生活による、身体的・心理的な影響を調べるのが目的だそうだ。火星までは、秒速12km程度の速度でも、片道240日以上かかる。火星の滞在は1カ月程度になるらしい。
これだけの長期間、宇宙を旅していると、心配になるのが放射線被曝である。地球上の日常生活では、1年で2.4ミリシーベルトの自然放射線を浴びるが、宇宙空間では、1日で地上の半年分も浴びてしまう。宇宙飛行士の生涯の被曝の上限は1000ミリシーベルト程度なので、生涯に1回しか火星に行かれない計算になる。

[正解] 問1:A 問2:A


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

火星での生命探査は、この10年で決着する?



火星に生命が存在するかどうか、いまだに判明していない。だが、その前提となる水の存在は、火星を周回する宇宙探査船からの撮影や、火星表面に着陸した探査機によって直接確認されている。ただし、液体の水ではなく、火星の北極近辺で「氷」が発見されているのだ。過去に火星の気候がもっと温暖だったときは、液体の水があったと考えられている。
1700万年ほど昔に火星に小天体が衝突して、その勢いで吹き飛ばされ、1万1000年ほど昔に地球に落ちてきたと思われるALH84001(南極のアランヒルズで84年に見つかった1番目の意)という隕石には、細菌に似た構造があり、生物活動でつくられたらしい磁鉄鉱も検出された。NASAは、この隕石が火星の生命の「証拠」だと発表したが、学界では論争が続いており、確証とはいえない。
その他、生物が出したと思われるメタンも火星には存在するが、やはり実際の生命を見つけないことには、火星の生命論争には決着がつきそうにない。
そこでNASAが11月26日に打ち上げたマーズ・サイエンス・ラボラトリー(愛称「キュリオシティ」=好奇心)に期待が集まっている。このミッションは、探査車が火星表面の土や岩石を分析し、過去から現在まで、火星で生物が棲息できたかどうか、条件を絞るのが目的だ。そして、NASAが2016年に予定しているアストロバイオロジー・フィールド・ラボラトリーは、火星の生命論争に決着をつけるのが目的だ。
早ければ今後10年以内に、火星に生命が存在するかどうか、答えが出るだろう。はたして地球以外に生命はあるのか。われわれは今、「宇宙生物学」の幕開けを目撃しつつあるのかもしれない。

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