日本1周ご当地不思議巡り/第7回

福井県 油揚げ大量消費の謎

2012.06.06 WED


県内の外食店では、「厚揚げ定食」なんてメニューもあります。厚揚げ(奥)と半熟厚揚げ(手前)など、厚揚げの中でも種類はいろいろあるんです
関東の人はあまりご存じないかもしれませんが、関西人は総じてカニ好き。寒くなるとカニを食べに日本海側へ旅行するのが冬の乙な過ごし方だそう。行き先は、山陰、北近畿、北陸といろいろあるようですが、なかでも越前ガニ有する福井県が人気です。そんな福井県では食にかける支出が全般的に高めな模様。ざっと挙げただけでも以下の通りです。(「総務省 平成21年地域,品目別1世帯当たり1か月間の支出」(二人以上の勤労者世帯)単位・円)

米 …第2位(4866)
魚介類 …第3位(6968)
干しのり …第2位(188)
わかめ・こんぶ …第3位(239)
野菜・海藻のつくだ煮 …第1位(167)
加工肉 …第1位(1814)
調理食品 …第1位(9696)
豆類 …第1位(83)
油揚げ・がんもどき …第1位(531)

いかがでしょう? でも最後の一品が特に気になりませんか? 「油揚げ・がんもどき」の消費量が全国1位。しかも調べてみたら、支出額は、全国平均の2倍強にも上ります。いったいなぜそんなにも油揚げ&がんもどき好きなのでしょうか?

福井県内のスーパーへ足を運ぶと、惣菜コーナーには他県でもよく見かける「薄揚げ」はもちろんのこと、「厚揚げ」がところ狭しと並べられていました。その種類も「生揚げ」「絹厚揚げ」「昔揚げ」と多彩。県民にヒアリング調査をしても、冷蔵庫に厚揚げがなくなれば買い足す、という人が多数を占めるほど。食べ方は、焼いた厚揚げに、大根おろしときざみネギをのせ、生姜醤油をかけて食べる「焼き厚揚げ」が一般的だそうですが、学校給食ではカレーに入れたり、夏のBBQでも肉とともに厚揚げも焼く人もいるというから驚きです。

どうして、ここまで「厚揚げ」を食べる習慣が根付いているのでしょうか?

「福井県は、浄土真宗の信仰が盛んで、浄土真宗宗祖・親鸞上人の祥月命日にあたる報恩講の食事で、厚揚げが振る舞われています。それが一般家庭の食卓でも並ぶようになった背景です」

そう語るのは、厚揚げを研究すること10年の福井県農業試験場主任の田中ゆかりさん。確かに、福井県は北陸エリアの他県と同様、浄土真宗の信仰に厚い土地柄。とはいえ、報恩講の行事が昔ほど盛んでない今、それだけが理由とも思えないのですが…。

「働く女性が多く、三世代同居率が高いことも影響していると思います。幅広い世代に愛されている厚揚げは、手間なく美味しく調理できるのも魅力ですから」

調べてみると、福井の女性の有業率は全国1位(総務省統計局 平成19年 就業構造基本調査)と高い。そういえば、前出データで消費量が全国1位だった「加工肉」や「調理食品」も、時間をかけずに食卓に並べられるものですね。さらに、三世代同居率が全国2位(平成22年 国勢調査)と高く、祖父母世代にも好まれる献立求められてきたことも、厚揚げが支持されてきた背景なんだとか。

では、実際のお味はというと…? 福井県内でも有名な厚揚げ屋さんに足を運んでみると、今まで食べたことのないような大きな厚揚げが。12~13センチ四方の極厚の厚揚げは、外はサクサク、中はジューシーな逸品で「うまい!」の一言! これならメインのおかずにもなりえてしまうほどのボリュームです。厚揚げの消費量が高いのは、こんな美味しい厚揚げがあるから、というのも一つの理由かもしれませんね。
(長谷川浩史/梨紗)

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