どこまで行った?どこまで行ける?

人類最高の地下到達点は?

2013.10.28 MON


昨年の10月、チリのサンホセ鉱山で発生した落盤事故から、地下にいた全員が救出されたのは記憶に新しいところ。634mという深い地下に閉じ込められたというが、あまりに深すぎてピンとこない。そこでふと、人類はもっと深いところではどこまで行けたのか、また、そこはどんな世界なのか、知りたくなりました。産総研地質調査総合センターで地質相談に対応されている下川浩一氏に、地下の到達点にまつわる、いろいろな疑問に答えてもらいましょう。

「南アフリカ共和国にあるムポネン金鉱山では、地下約4000mで、金鉱脈の発掘が続けられています。それが現状での、人類が到達している地下の最大深度といっていいでしょう。地質の調査によって、地下4800mに新たな鉱脈があることが分かっているため、現在そこを目指して、さらに深くまで掘削を続けているようです」

地下4000mの地中って、人間にとってはどんな環境なのでしょう?

「ムポネン金鉱山の採掘場では摂氏65度もあるので、温度を下げる必要があります。また空間が狭く、空気が対流しないので二酸化炭素が溜まります。換気をしなければ呼吸ができない状況。なので強力なエアコンで冷気を送りつつ空調をしているようです」

ちなみに人類史上、実際に掘ったことのある最深の到達点は、どのくらいなのでしょうか?

「1989年ロシアのコラ半島で行われた地質調査で、地下約1万2000mに到達しており、最深とされています」

富士山が3個分隠れるほどの深さですか! いったいなんのためにそこまで掘り進めたんですか?

「地下の情報は、地震や人工的に起こした地震などによる物理調査によって間接的に得られていますが、地下深部に何がどのような状態で存在しているかは、実際に掘って観察、観測しなければ分かりません。特に地下の1万~2万mでは、大規模な地震がしばしば起こっているので、その発生のしくみを解明するためにも、実際に掘ってみることが重要なんです」

地下はまだ分からないことだらけのよう。だけど、地下を掘り進めることで、大規模な地震発生のしくみが分かり、被害を食い止めることができれば、人類にとって大きな一歩なのでしょうね。
(伊藤 裕/GRINGO&Co.)

※この記事は2011年02月に取材・掲載した記事です

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