パターから時計の文字盤まで!?

世界が認める町工場の実力とは

2014.04.10 THU


青森テフコが扱う“時字”の厚みは0.03~0.150mmと極薄。さらに、線幅は標準で0.1~0.20mmとか。これらをテフコが独自に開発した“感圧式粘着剤”を使って文字盤に接着していく 画像提供/青森テフコ
先月、安倍首相がオバマ大統領を訪問した際、手みやげとして持参した日本製のゴルフパターが一躍脚光を浴びた。これは、山形市の「山田パター工房」が軟鉄を削り出して作る高級パターだ。

2012年には、オーストラリアのプロゴルファー、ライン・ギブソン選手が山田パター工房の「エンペラー」を使用。当時、石川遼選手が持っていた世界最少スコアを破る「55」を叩き出した。山田パターはもともとゴルフ通の間では有名だったが、この記録やオバマ大統領へのプレゼントをきっかけに、さらに世界中のその名をとどろかせた。

このように、日本の中小企業や町工場の実力を物語るエピソードをしばしば耳にするが、ほかにはどんな事例があるのだろうか。かつて40の町工場を取材して回り、著書『世界が大切にするニッポン工場力』(ディスカヴァ-・トゥエンティワン)にまとめたジャーナリストの根岸康雄さんに聞いた。

「“完璧な仕事”にこだわる日本人の特性でしょうか、特に精密な微細部品を作る技術で世界のモノづくりを支えています。海外の多くの技術は、もはや日本の町工場なくして成り立たないでしょう。たとえば、高い研磨技術で初期のアップル社製品の鏡面加工を手掛けていたのが、新潟県・燕市の研磨職人たちであることをご存じの方も多いはず。ほかにも、世界を席巻する中小企業や町工場はたくさんあるんですよ」

世界のモノづくりを支える「メイド・イン・ジャパニーズ町工場」。小さなモノづくり集団から中小企業へと成長した町工場を含め、ここにその一部をご紹介しよう。

●腕時計の文字盤(テフコ青森/青森県)
腕時計の小さな盤面に配置された繊細な金属の“時字”を転写シールにする世界初の電着技術を開発。セイコーやオメガなどのメジャーな時計ブランドから、グッチ、エルメスなどのファッションブランドに至るまで、年間700万個を供給。

●水族館のアクリルパネル(日プラ/香川県)
透明度の高い接着技術で、「沖縄美ら海水族館」の大水槽をはじめ、各地の水族館などにアクリルパネルを供給している。世界のシェアは約50%。現在ギネス記録を持つドバイの水槽パネル(横幅33m、高さ8.4m、厚さ75㎝)も同社の仕事だ。

●“妖精の羽”のような絹織物(齋栄織物/福島県)
ブライダルファッションデザイナーの桂由美さんやジョルジオ・アルマーニ氏らが採用する世界一薄い絹織物「フェアリー・フェザー」。使用する三眠蚕の繊細な絹糸は、髪の毛の約6分の1程度の太さ。この糸を機械織りで量産できる高い技術力が注目されている。

「世界に認められる技術を持つ中小企業や町工場に共通するのは、大企業が手を出さない仕事を率先して受注している点。また、内部留保金をしっかりと貯め、技術開発のために多額の投資をできる体力を持っている会社が珍しくないのも特徴です」(根岸さん)

試行錯誤を繰り返しながら、技術を磨いてきた縁の下の力持ち。今後も世界の大舞台で、ホールインワン級の快進撃を続けてください!
(矢口あやは+ノオト)

※この記事は2013年4月に取材・掲載した記事です

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