送り火、迎え火、墓参り…

そろそろ復習 意外と知らない盆作法

2014.08.11 MON


お盆のお供え物の一つ“精霊馬”。「先祖の霊は、来る時にはキュウリの馬で早く来て、帰る時にはナスの牛でゆっくり帰るとされています。少しでも長く先祖の霊といたい、という子孫の願いがこめられているわけですね」(柴田さん)
お盆の行事といえば、お墓参り。ほかにも「迎え火」「送り火」なんて単語を聞いたことはあるが、詳しい内容はよくわからない。お盆の作法って、一体どんなものがあるの? 「お仏壇のはせがわ」の柴田敦さんと生見司織さんにお話を伺った。

「お盆の作法は地方によっても異なりますが、おおまかに『お墓参り』『迎え火』『先祖の霊のもてなし』『送り火』の4つの要素から成り立っています」(生見さん)

初めに行うのがお墓参り。なんとなく行く人も多いかもしれないが、実は先祖の霊を墓地まで迎えに行く、という意味がある。そのため、お盆の初日、8月13日の朝に行くのが望ましい。

「お墓参りの際は、墓石や墓地の地面を掃除して、お線香や花、先祖が好きだったものなどをお供えします。ただ、墓石にお酒をかける行為は、変色の原因となるのでオススメしません」(生見さん)

続いて行うのが、「迎え火」。先祖の霊を現世に迎え入れる際の目印として、「おがら」と呼ばれる麻の茎を、素焼の皿の上で燃やす行事だ。

「『おがら』は、仏具店やスーパー、花屋などで購入可能です。また、家の前で迎え火をたく人をよく見ますが、本来は墓前で行うもの。火種も墓前の線香から取るのが望ましいですね」(生見さん)

帰ってきた先祖の霊をもてなすために必要なのが、お供えものだ。

「ナスやキュウリを牛馬に見立てた『精霊馬』、精進料理、旬の野菜や果物など、様々なものを供えます。意外と知られていないものが『水の子』。ナスとキュウリをさいの目に刻み、蓮の葉に盛りつけたお供えもので、先祖の煩悩を払い、徳を高めるとされます」(生見さん)

こうして、お盆最終日の8月15日(地域によっては16日)まで滞在した先祖の霊は、「送り火」によって霊界へ帰る。家庭では迎え火と同じく「おがら」を燃やすが、京都の大文字焼きや九州の精霊流しなどのように、大きなイベントとなっている地域も多い。

意外と複雑なお盆の行事。それもこれも先祖を敬う気持ちがあるからこそだ。

「お盆の風習は、仏教、儒教、神道の様々な思想が混じり合った、日本独自のもの。また、目に見えない霊や仏の存在を通じて、子どもたちにもてなしや思いやりの心を教える情操教育の場でもありました」(柴田さん)

日本人の心に深く根ざしたお盆の風習。故郷に帰った時は迎え火、送り火をたいて、その心に思いをはせてみてはいかがだろう。
(森石豊/Office Ti+)

※この記事は2011年08月に取材・掲載した記事です

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