寿命、痛みの耐性、がん罹患率…すべて女性の勝ち!

「女の方が男より強い」医学的理由

2015.01.22 THU


出産は「鼻の穴からスイカを出す」と表現されるほど、想像を絶する痛みが伴う…それを乗り越える女性は強い
巷でよく聞かれる噂のひとつに、「出産の痛みを男が体験したら、ショック死する」というものがある。さらに男より女の方が長生きという統計があるからか、しばしば「生物学的には男より女の方が強い」という言い方をされることも…。はたして、これは本当なのだろうか?

この疑問に対し、「『女が強くて長寿』というより、むしろ『男が弱くて寿命を全うできない』と考えた方がよいでしょう」と話してくれたのは、『なぜ男は女より早く死ぬのか』などの著書で知られる、元・北海道大学理学研究科准教授の若原正己氏。

「生物学上、男性が短命な理由として『アンドロジェン説』という学説が有力視されています。アンドロジェンとは主に睾丸で作られる男性ホルモンのこと。これが“放出されすぎること”に起因して、男は短命になるというのです」(若原氏、以下同)

これは生体実験でも実証されている。ネコやネズミなど他の哺乳類もオスの方が短命だが、メスにアンドロジェンを投与すると攻撃的になって早死にし、逆にオスを去勢すると、アンドロジェンが出なくなって長生きするというのだ。

ほかにも、ホルモンの影響で、女より弱くなってしまう点が男にはあるという。

「最も有名なのは『痛み』ですね。女性は出産時の壮絶な痛みに耐えるシステムが発達していて、痛い時に脳内で作られる物質・エンドルフィンが多量に放出される傾向があり、痛みの刺激伝達を阻止しやすくなっています。さらに出産時にはエストロジェン(女性ホルモン)やオキシトシン(脳下垂体後葉から放出されるホルモン)などとの相互作用で、エンドルフィンの働きが増強されます。男性もエンドルフィンは放出されますが、エストロジェンやオキシトシンが放出されず、増強作用は働かないので、出産の痛みにはまず耐えられないでしょう」

さらに若原氏はこう続ける。

「長寿の理由でもありますが、女は『病気』にも強いんです。『地域がん登録全国推計によるがん罹患データ』(出典:国立がん研究センターがん対策情報センター)によると、喉頭がんや食道がんは6~13倍、膀胱がんは約3倍、男の方が罹りやすいと報告されています。がんになりかかった細胞(前がん細胞)は、すべてががん化するわけではなく、その大半は免疫細胞によって退治されます。しかし、男性ホルモンが多く放出される男性は、免疫力が低くなってしまい、がんを発症しやすくなるんです。一方、女性にはアンドロジェンがない分、高い免疫力を保持できます」

免疫力も女性の方が強かったとは…。

「さらに、女性はストレスにも強いとされていますね。ストレスに対抗する主なホルモンは、副腎皮質から放出される副腎皮質ホルモン(コルチゾールなど)、オキシトシンです。オキシトシンは愛情ホルモン、絆ホルモンとも呼ばれ、放出されると安心感が広まり、ストレスが緩和されます。男性でも放出されますが、エストロジェンとの相乗効果で、女性の方がオキシトシンの効果を得やすくなるのです。これが要因かは定かではありませんが、1950年頃から現在までの自殺率の男女差が報告された『内閣府自殺対策白書』が参考になります。それによると1950年代は男性の自殺率は女性よりも1.5倍ほど高く、昨今では2.5〜2.7倍と次第にその差が広がっています」

ちなみに、オキシトシンが女性ホルモンによって増強されることで、言語コミュニケーション能力も女性の方が向上しやすいという。

同僚や彼女に対して「女性は強いな…」と感じたことのある男性は多いと思うが、実際に女性の強さを裏付ける理由はいくつもあるようだ。
(池田園子)

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