不妊治療専門家にきいた「精子のウソ・ホント」とは…

「精子」にまつわる噂 5つの真相

2015.07.25 SAT


健康のために…と運動していても、やりすぎは精子によくない!? 写真/PIXTA
結婚(して子作り)すれば、自然と子供はできるもの…。なんとなくそう考えている男性も多いかもしれない。しかし、晩婚化が進む近年、不妊症に悩む夫婦が増えているという。しかもその原因は「男性側」にあるケースも多いとか。

「不妊症は女性にばかり責があるように思われがちです。しかし実は、原因の約半分は男性にあり、そのうち9割は精子の異常によるものです。不妊治療の現場の多くが『精子に重要なことは、濃度と運動率』としていますが、実際にはそれだけではありません。動きがよくてもDNAが傷ついている精子があり、せっかく受精しても、生まれてくる赤ちゃんの健康に影響がおよぶケースもあるのです」

そう語るのは、黒田インターナショナル・メディカル・リプロダクションの黒田優佳子医師。最近、各メディアで「(卵子だけでなく)精子も35歳から老化する」という話題が注目を集めているが、その信憑性は?

「確かに加齢によって精子の機能は衰えますが、個人差が大きいので“○歳から”という一律の線引きはできません」

世間でまことしやかに唱えられている説でも、鵜呑みにするのは考えものというわけだ。ほかにも、そんな“精子にまつわる噂”の真相を、黒田先生にきいてみた。

●噂1:ブリーフや自転車で股間を圧迫すると精子によくない? →ホント
「元気な精子を作るためには、精巣を体温より若干低い温度に保つことが肝心です。また、精巣が圧迫されている状態だと、血流が低下してしまうのでよくありません。男性の下着であれば、温度が上がりやすく股間を圧迫するブリーフより、トランクスのほうがよいでしょう。自転車も、股を閉じた姿勢で長時間運動をすると、熱がこもって温度が上昇したり、圧迫されたりするので、精子にとってよいことは何もありません。ちなみに、一般に『睾丸(精子)を冷やすとよい』とも言われていますが、冷やしすぎも禁物。健康な精子のためには“人肌”が最も望ましいのです」

●噂2:亜鉛を摂取すると精子が元気になる? →ウソ
「精子が泳いでいる白い液体“精漿(せいしょう)”には、亜鉛が豊富に含まれています。しかし、亜鉛の栄養素としての効果は、主に代謝機能の促進や味覚の正常化などです。したがって、亜鉛を摂取したからといって、精子の機能向上には直結しません」

●噂3:食べ物や生活習慣、ストレスなども精子に影響を与える? →ホント
「精子に異常がみられる事例は“先天性”と“後天性”に分けられますが、後者のほうが圧倒的に多いです。そしてその原因は、主に食事や生活習慣。偏食や徹夜、深酒や喫煙は精子にとって好ましくありません。さらに個人差はあるものの、過度なストレスも精子のDNAを傷つけると指摘されています。規則正しい生活とバランスのよい食事(特に野菜や魚を含む“和定食”)を心がけることは、健康管理だけでなく精子にとっても重要です」

●噂4:定期的に射精しないと精子によくない? →ホント
「個人差はありますが、禁欲生活が長過ぎると精子の質の低下、生産力の低下を招きます。せめて1週間に1回、最低でも2週間に1回は定期的に射精したほうがいいですね」

●疑問5:日々、運動に励むと精子も元気になる? →適度な運動ならホント
「適度な運動で新陳代謝を促すと、精子の形成機能は向上します。しかし、過度に運動すると『活性酸素』が増え、精子のDNAが傷ついてしまいます。個人差はありますが、精子を元気にするためには“ほどほどの運動”がよいでしょう」

近年はバイアグラなどのED治療薬が開発されたおかげで、男性の「勃起の悩み」に関しては以前よりも改善されたといえる。しかし「健康な精子を作るための薬」は、いまだ開発されていない。独身のうちから、“精子の健康”を意識して生活するべきなのかもしれない。
(西山大樹)

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