“快眠音楽アプリ”が流行っているけれど…

「眠くなる音」科学的な実証はナシ

2015.08.30 SUN


好きなアーティストの曲を聴くと、テンションが上がって眠れなくなる可能性も。「川のせせらぎ」のように聞き流せる音の方が良さそうだ
「明日も朝から仕事なのに…」。夜、眠りたいのに眠れず、苦しんだ経験がある人も多いだろう。そんな時、頼りたくなるのが心地よく眠気を誘ってくれるという“快眠音”だ。最近、たくさんの快眠音楽アプリもリリースされている。だが、果たして“人が眠くなる音”が本当にあるのか。そこで、聴覚心理学の専門家で『オトデザイナーが教える!「伝わる」技術』などの著書がある株式会社オトデザイナーズ代表の坂本真一さんに聞いてみた。

「“眠気を誘う音”の存在は、私の知る限りでは、科学的には証明されていません。残念ながら“この音を聴いたら眠くなる”と断言できるような音があるとは言えないと思います。なかには『モーツァルトが効く』という人もいますが、これも科学的根拠があるわけではないんです」

となれば、音楽に頼って眠りに落ちるのはあきらめるしかないのか。坂本さんによれば、「逆に快眠を妨げる音はあるかもしれない」という。

「人間の聴覚には“注意効果”というものがあり、ある音に注意を向けると、それに対してとても敏感になります。これは通常、うるさい場所で必要な声を聞き取る時などに発揮する能力。しかし、睡眠時に気になる音が鳴ると、そちらに注意が向いて眠れなくなる可能性がある。ですから、静かなメロディだけどサビに入ると一気にボリュームが上がるような曲や、つい聴き入りたくなるような買ったばかりのCDなどは避けたほうがいいかもしれません」

逆にいえば、注意を引きにくい穏やかな音なら、気持ちが落ち着く可能性はある。坂本さんがおすすめするのは、「川のせせらぎ」だ。オトデザイナーズ社が2006年に行った「日本人が好きな音10000人調査」で、見事1位に輝いた。

「約65%が『好き』と答えました。つまり、多くの日本人にとって心地よく聴こえる音ということ。眠くなるかどうかはともかく、寝る前に聴く音として選ぶのは悪くないと思いますよ」

ちなみに、2位は「波の音」、3位は「風鈴の音」、4位は「オルゴールの音」、5位は「早朝の鳥の鳴き声」だったとか。

「ただし、音は人によって聴こえ方・感じ方が大きく異なるもの。“川のせせらぎ”も、子どもの頃におぼれた経験がある人にとっては、嫌な記憶が思い出されてしまうかもしれません。反対に、例えばヘビメタが大好きな人は、他人にはうるさく聴こえても、本人は心地よく、あっという間に眠れるかもしれません」

確かに、電車やバスでは、ガタゴトと騒音の中でも熟睡してしまうことがある。結局は、自分の好きな音を選ぶのが吉ということか…。いろいろな音を試して、あなただけの“眠れる音”を探してみては?
(鼠入昌史/office ti+)

※この記事は2014年8月に取材・掲載した記事です

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