確かに生命倫理に関わる問題だが…

先端医療の鍵「ES細胞」研究なぜブッシュは“ノー”と言うの?

2005.06.23 THU

“生命”とは、いったいなんなのか?? という深遠なる疑問はさておき(難しすぎるので…)、アメリカ議会で今、こんな問題が勃発しているという。

《ブッシュ大統領、就任後初となる“拒否権”発動の見通し――ES細胞の研究規制緩和法案可決に伴い》

「ES細胞」とは、日本では「胚性幹細胞」とも呼ばれる、まさにすべての“幹”となる万能細胞のこと。神経や筋肉、血液などあらゆる組織へと変貌させることができるほか、ES細胞の状態をキープしたまま培養させることも可能なため、血液や臓器を“人工的”に作り役立てる「再生医療」の実現には欠かせない存在とされている。

そんな、パッと見には素晴らしすぎるES細胞の研究に、なぜブッシュ大統領は待ったをかけるのか? その理由は、ES細胞の“作り方”にある。現在までのところ、培養させるES細胞の“種”は、初期段階の受精卵である「胚」から取り出さなければならない。そのためブッシュ大統領は、

「“生命”である受精卵を破壊するような研究を、国家として認めるべきじゃない!」

と下院議会での決定をチャラにする“拒否権”の行使という、荒業に出たのである。

もちろんES細胞の研究はブッシュ大統領が指摘するとおり、生命倫理と深く関わりあうため、日本を含めた世界各国でも慎重な議論の下で進められている、のだが…。

実際のところ、今回ブッシュ大統領がそこまでの荒業に出た真の“理由”は、自身の強力な支持母体である、某カトリック系宗教団体に対する“ご機嫌伺い”という、実になんともまぁ、な説も。

大統領が“拒否権”を使っても、法案を通す術はあるため、実質は民衆へのアピールにしかならない、という指摘もあるが、現実に再生医療の実現を待つ人々が多くいることを考えれば、どうにも納得のいかない今回の一件。そういや日本の政治家にも、似たような行動を取る人がケッコウいるような…。

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