海に浮かぶ研究所

巨大な科学掘削船「ちきゅう」海底下7000mまで掘る理由は?

2005.09.16 FRI

海底を掘って、地球の「中身」まで覗き込める科学掘削船「ちきゅう」が7月末に完成し、10月から掘削のテストが始まる。この船の全長は210m。六本木ヒルズの高層ビルをパタッと倒した感じのスケール感だ。総トン数は約5万7100トン。150人乗りで、総工費は約600億円にのぼる。目を引くのは、船底からの高さ約130mの「掘削やぐら」だ。掘削に使うパイプを組み立てたりするために必要な高さで、現在「世界一背が高い船」として、ギネスブックに登録を申請している。

実はこの船、海底下の地面を「より深く」掘れるという意味で、世界一クラスなのだ。海底油田の掘削に使う「ライザー掘削」方式を、科学掘削船としては世界で初めて採用。密度などを制御した「特殊な泥水」をドリルパイプを通じて船上から送り込み、削った岩石などは船上まで運ばれる。海底下の地中ではケーシングパイプを差し込み、壁面を補強しながら慎重に掘り進む。最終的に船から1000本以上のパイプをつなげ、4000mの深海底から世界最高の約7000mまで到達する予定だ(過去の科学的な海底掘削の世界記録は米国船の2111m)。なぜ7000mなのか?

「これは巨大地震の震源域の物質を採取できる深さです。また深海底の地殻は比較的薄く、約5~6掘れば、マントルに達するといわれています。その岩石や泥の試料“コア”を地上に持ってきて研究することで、巨大地震発生のメカニズムや地球がどうやってつくられたかなどを解明できるのです」(倉本真一 海洋研究開発機構・地球深部探査センターグループリーダー)

07年9月からは、日米欧亜の研究者が乗船して、想定されている巨大地震の震源域にあたる、熊野灘沖の南海トラフで掘削に着手する予定だ。未知の生命体がいる可能性も高いらしい。誰も、見たことも触ったこともない土の中の世界だけに、今後も目が離せない。

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