あそこって前、何が建ってたんだっけ…

なぜ忘却は起きるのか。記憶の仕組み、知ってる?

2007.09.20 THU



写真提供/時事通信
たとえばある日、通勤途中の道で新しい店に気づく。帰りに寄ってみようかな、とか考えつつ、以前その場所には何が建ってたのか、いくらがんばっても思い出せない。何度も何度もその前を通って会社に通ってたはずなのに…なんて経験、ありません? それは、べつに我々が特別にアタマが悪いからってわけじゃなく、記憶というものの仕組みに起因する現象らしい。 

そもそも記憶というのは、脳の情報処理システムの一部。短期記憶と長期記憶に分類され、短期記憶はくり返し(英単語帳を何度も見るとか)や符号化(1192つくろうで出来事を覚えるとか)によって長期記憶になる、と考えられている。記銘(符号化。情報を覚える)→保持(貯蔵。情報を保存しておく)→想起(検索。情報を思い出す)→忘却(想起ができなくなる)というのがその流れ。忘却とは、記銘・保持・想起という流れのあいだ、いずれかの作業に失敗した場合に起きることだと心理学などでは理解されている。

ただし“通勤途中の新しい店現象”については、記憶を想起できなくなるという意味での忘却より、視聴覚などの感覚器官からの情報を選択する際に、最初から除外され、入力されていない可能性の方が大きい。我々は、常時五感から入力される膨大な情報量のうち、ごく一部だけを選択して短期記憶に留めている。つまり、特別な注意を払わずにある風景のなかをいくら歩いても、さっぱり何も記憶してないのは当然なのだ。だからといってヒトの脳があんまし性能が良くないという意味ではない。記憶は、超精密な情報処理システムの重要なパートのひとつだってことは事実。

「でも、世のなかには前世の記憶を持ってる記憶力のいい人だっているじゃん?」という方面の疑問もあるかもしれないけど、その話はまた今度ゆっくり。異星人に誘拐された記憶を持つ不運な人のお話あたりと併せて、説明してみたいと思います。…覚えてたら、ですけど。


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