古典文学の主流が横書きになっちゃう!?

「縦書き」vs「横書き」その歴史にズームイン!

2008.10.09 THU


明確なルールもないのに、日本ではビジネス文書や小説などの用途によって、自然と使い分けられている縦書きと横書き。でも、近ごろは携帯文化が浸透した背景もあって、夏目漱石の『こころ』といった古典文学を横書き化した書籍が注目を集めるなど、なにやら変化の兆しが!? そもそも、漢字圏の日本は縦書きが主流だったはず。それがいつの間に横書きを使い始めたのか。『横書き登場』(岩波新書)の著者、慶應義塾大学文学部の屋名池誠教授にその歴史を伺いました。

「横書きは外国語をまねて、幕末から明治初期に生まれましたが、当初は外国語を理解するインテリ層の左からの横書きと外国語に詳しくない庶民の右からの横書きがありました」

ちなみに、戦後まで2種類の横書きは並列して使われていたとか。ただ、欧米の言語に触れたインテリは、30字足らずの文字で何でも書ける合理性にショックを受けて、漢字廃止を唱えた人たちもいたそうです。

「インテリ層は種類の多い漢字が言語として非効率だと考え、タイプライターが使える横書きのカナ文字運動を推進。その名残で現在、ビジネス文書で横書き表記が使われています。また、第2次大戦後の中国でも漢字の様々な弊害を除くことを目的とした文字改革の一環として、漢字の字体の簡略化や、ローマ字表記法の開発とともに横書き化が強力に進められました。現在、横書きは日本以上に普及しています」(同)

日本でもパソコンなどで文書を作成するときに横書きを基本とするのが当たり前。手紙の宛名にすら横書きを使うことが増えたなか、縦書きの利点はあるのでしょうか?

「日本人には古きを重んじる気風があるせいか、文字表記でも昔からの縦書きの方により丁寧さを感じる傾向があるようです。縦・横両用の言語は世界的にもまれですが、雑誌や広告などで様々な文字配置ができるのは日本語ならではの利点ですね」(同)

横、縦書きは日本の文化。今後も両方使用したいものです。


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