副収入の怪しい世界

第1回 古今東西、髪の毛売買のいろんな実態

2009.02.18 WED

副収入の怪しい世界


イラスト/坂谷はるか 髪の毛を売るには、かなりの長さが必要・・・。と思いきや、そもそもシャンプーで傷んだ日本人の髪の毛は売り物にならない?

自分の髪の毛は売れるのか?カツラメーカーに業界事情を聞いた!



自分の髪の毛ってどこかで買ってもらえないのでしょうか。髪の毛専門の市場があるという話も聞いたことはないし。

「髪の毛売買」をネットで検索してみると、「カツラ」「エクステ」などの製品情報ばかりが出てきます。

「エクステ原材料」の髪の毛を売っている業者さんの情報はたくさん出てくるのですが、私たちの髪の毛を買ってくれる業者さんの情報はなかなか出てきません。

そこで、老舗カツラメーカーの東京義髪整形にお話を聞いてみると・・・

「昨今のカツラ業界において、髪の毛は個人から買い取るのではなく海外から輸入することが多いようです。弊社はほとんどのカツラを人毛でお作りしておりますが、1つのカツラを制作するのに、かなりの量の人毛が必要となります。しかも、人毛の品質がある程度均一でないと、よいカツラになりません。そのうえ、弊社はかなりのロット数のカツラを製造するため、高品質でいろいろな長さの髪をある程度まとまった量で購入できなくては、よいカツラを製造できないのです」

そうなんですね。各メーカーは、どこからカツラの材料となる髪の毛を仕入れているのですか?

「最近は、質の良い人毛を手に入れることが難しくなってきておりますので、国内の各メーカーさんも購入先や価格などは、おそらく秘密にされるのではないでしょうか」

なるほど。ちなみに御社で個人からの髪の毛買い取りは?

「材料の髪の毛は海外からの大量輸入で対応しているので、基本的に個人から髪の毛を買い取ることはしていません。そもそも、日本人の髪の毛は長年のシャンプーなどで傷んでしまっていて、カツラの材料として使えないことがほとんどなんです」

日本人の髪は傷んでいる・・・か。仮にシャンプーをしない生活を続ければ、カツラの材料として使える良質の髪になるかもしれませんが、髪質の問題をクリアしたとしても、カツラメーカーの現状を聞く限り、個人から髪の毛を買い取ってくれる可能性は低い・・・。

うーん、残念ながら現在の日本では、自分の髪の毛を売ってお金をもうけるのは難しいようです。
イラスト/坂谷はるか 有名人の髪の毛がオークションでさかんに売買されているアメリカ。たかが髪の毛でも高値がつくとなれば、ライブを見に行っても、パフォーマンスそっちのけで髪の毛を探してしまったりして・・・。

セレブや有名人だとウン億円!?仰天! 世界の「髪の毛売買」実情とは?



現在、日本のカツラメーカーは、カツラの材料となる髪の毛を海外から輸入しているため、自分の髪の毛を買い取ってもらってお金をもうけるのは、どうやら難しい様子。ところが、世界には「他人の髪の毛」に、すごい値がついた例があるとわかりました。

ここ数年で一番話題になり、かつ高値がついた「髪」はなんといってもブリトニー・スピアーズのものです。

ご存じのように日本ではブリちゃんとして親しまれている彼女。過去4枚のアルバムのトータル・セールスが、全世界で8700万枚というスーパースターです。

そのブリちゃんですが、2007年にロサンゼルスのヘア・サロンに突然現れて「丸坊主にして」と言ったそうです。その店は決して高級な店ではなく、カット料約2000円(20ドル)の庶民的な美容院でした。本当にやっていいのか店長が迷っていると、ブリちゃんは自らバリカンを手にして、自分の頭を丸坊主にしてしまいました。

「ブリトニー・スピアーズ、自ら丸坊主に!」と日本でも写真入りで大きく報道された事件です。

サロンの経営者は「『落ちた髪の毛はいらない』と彼女が言っていました。だから当サロンで保管していますが、今後オークションに出品する予定です」と発言。その後、経営者はブリちゃんの髪の毛をオークションに出品しました。

ところが、それに続くように出品者が複数登場! そのヘア・サロンのスタッフからもらったという人、その場にいた客、サロンの外で拾ったという人、などです。DNA鑑定でもすれば別でしょうが、どれが本物で、どれが偽物かは、誰にもわかりません。

他の出品者について、サロン側は「詐欺だ」と主張。その一方で、複数の出品者がネットオークションに出品したブリちゃんの髪の毛は、最終的に1億円まで値段が上がり続けました。

しかし、あまりにも高額な落札価格なうえ、ふざけ半分の出品&落札が続いたため、いったんそのオークションは中止。しかし、その後登場した専用のサイト「ブリトニーズヘアー・コム」では、お祭り状態が続きました。こちらの最低落札価格は、なんと約1億円(100万ドル)。超高価格です。

それにしても、そもそも他人の髪の毛をひろってオークションで売ることは、法的に問題ないのでしょうか? テレビなどのメディアでも活躍しているアディーレ法律事務所の石丸幸人弁護士にお話を伺いました。

「髪の毛は拾った時点(取得の時点)でその人のものになるので、海外でも日本でも売ること自体、法的にはまったく問題はありませんね。問題が生じるとすれば、ブリトニー・スピアーズ本人がサロンに対してあらかじめ、髪の毛を売らないでほしいと忠告していた場合でしょうか。ただ、そういったケースはごくまれだと思います」

ということは、今後コンサート会場などで有名人の髪の毛を拾っておけば、将来、一攫千金も夢ではないと?

「そうですね。髪の毛を売ることは問題ないので、あとはその髪の毛の需要によってどこまで値が上がるか、ということだと思います」

本当に本人の髪の毛であるかどうかは問題になりませんか?

「その髪の毛が本物であるかどうかを巡って、売り手と買い手が争った場合、ブリトニー本人のDNAを入手できれば、それが本物であるかどうかの証明は簡単ですね。逆に言えば、本人からのDNA提供が難しい場合、それが本物であるかどうかを証明するのは困難ということです」

なるほど! 先生、ありがとうございました!

つまり、買い手との間でDNA鑑定にもつれることさえなければ、他人の髪の毛で一攫千金の可能性もあるということ。DNA鑑定にもつれた場合でも、DNA提供に本人が協力してさえくれれば・・・ということなのですが。問題はやはり有名人本人の髪の毛かどうかを証明することなんですね。 髪の毛を売るって、元手がかからなくていい!と思ったけれど、自分の髪を売るのって、現在の日本ではなかなか難しいようですね。

一方で、同じ髪の毛でも、有名人の髪の毛なら一攫千金も夢ではないことがわかりました。思わぬところで手に入ったり。ただし、石丸弁護士がおっしゃるとおり、物が「髪の毛」だけに、「本物の証明」が大事になります。

アメリカの大手オークションサイトeBayには、ずばり「有名人の髪の毛」カテゴリ(Historical Hair And Collectibles)があり、そこではジョン・レノンやナポレオン、マザー・テレサの髪の毛が鑑定書付きで売買されています。彼らは歴史上の人物だけに、たった1本の毛でウン万円の値がつくこともあるようです。

人間の頭には髪の毛が10万本程度生えているそうですから、まとめて手に入れたら、1本1万円としても10億円!です。

現在の日本では「有名人の髪の毛売買」が盛んとはいえませんが、この先どうなるかわかりません。コンサート会場にいったときに有名人の髪の毛を拾っておけば、やがてお金になるチャンスが巡ってきたりして・・・。

さて、1回目の「髪の毛売買」事情、いかがでしたか?
髪の毛にまつわるおもしろい話題や体験談などがありましたら、
ぜひお気軽にお便りください。
お待ちしています!

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