ほとんど劇場でしか見かけない

映画字幕の手書き文字あの独特な書体の理由

2009.02.26 THU


やっぱり映画は、映画館で観るのが一番。DVDもお手軽でいいけれど、スクリーンの迫力は捨てがたい。字幕が手書き風だったりするのも、雰囲気があっていい。しかし、あの手書き風の書体は、劇場の映画字幕以外ではほとんど見かけないが、なぜ独特な書体なのだろう。字幕を製作する東京現像所に聞いた。

「もともと映画の字幕は、ほんの10年ほど前まで文字職人がひとつひとつ書いていたんです。その文字をもとに凸版を作って、薬品でフィルムを溶かして文字を抜いていた。それだと、フィルムが抜け落ちないように、文字にスキマをいれる必要があったんですね。さらに、映画字幕には、1行に13文字しか入れないとか、1秒間あたり3~4文字を読めるように表示するとか、基本的な決まりごとがあるので、できるだけ読みやすいように文字職人は工夫を重ねてきたわけです。その工夫の蓄積がフォント化され、現在はレーザーで文字をフィルムに焼き付ける方式を採用しています。レーザー方式ならフィルムは貫通しないので抜け落ちる心配はありません」

フォント化された手書き文字はいくつかあるが、日本の映画字幕でもっとも広く使われているのは字幕書きの第一人者、佐藤英夫さんが手がけたフォントだそう。

「字幕は読みやすさが第一ですから、濁点を強調したり、難しい字を簡略化したり、自然に文字が追えるような書体を模索してきました。今はフォント化されていますけど、映画によっては、専用の文字を新たに書きおこすこともあります。ハリー・ポッターの呪文などがそうですね」(佐藤さん)

ちなみに、どの書体を使うかは映画配給会社が決定する。技術が進んだ現在、必ずしも手書き風の字幕を使う必要はない。実際、丸ゴシックを使うことも多い。しかし、手書き文字がフォント化されて、いまだ使い続けられているのは、その読みやすさもさることながら、映画配給会社が、先人たちの培ってきた「字幕文化」を大切に考えているからなのかもしれません。


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