副収入の怪しい世界

第2回 “宇宙開発に貢献!”で副収入って?

2009.03.04 WED

副収入の怪しい世界


イラスト/坂谷はるか 一度はあこがれる宇宙の世界。サラリーマンを続けながら宇宙開発にかかわる副業…なんて妄想してしまいましたが、はたしてそんなことが可能なんでしょうか?

ボクらにも門戸は開かれている?宇宙専門機関で副業の可能性



宇宙開発と聞いて真っ先に思い浮かべるのはNASA(アメリカ航空宇宙局)。そして日本ではJAXA(宇宙航空研究開発機構)でしょうか。最先端の宇宙開発を行っているこれらの組織って、一般人には、ちょっと縁遠いイメージ。ところが、聞くところによると、ボクたちの生活と身近な分野で開発された技術が、こうした専門機関の研究でも生かされているとか。JAXA産学官連携部の三輪田真さんにお話を聞いてみると。

「JAXAは、2004年から『宇宙オープンラボ』という制度を設けています。目的は民間が生んだ技術と宇宙航空関連技術の関係進展です。民間から提案された技術を共同研究しながら、新たな発想の事業創出や新技術開発を図っているんです」

なるほど。ちなみにいくつくらいの企業が参加しているのですか?

「現在進行中のプロジェクトでは26社、終了したものを含めると75社が参加しました。その大半が宇宙開発に関係していなかった企業です」

たくさんの企業が参加しているのですね。ちなみにボクたちも宇宙に親しみを感じられるようなプロジェクトってないでしょうか?

「ガラスのような素材でコーティングしたスーパー超越紙で作った紙飛行機のユニークな研究があります。その名も『折り紙ヒコーキによる宇宙からの帰還プロジェクト』。すでにマッハ7での大気圏突入模擬試験は成功しているんですよ。耐熱性の研究はもちろんですが、折り紙飛行機の教材開発という狙いもあります。この研究のリーダーは金属部品メーカーの社長さんですが、長年折り紙飛行機の普及に取り組んでこられた方なんです」

宇宙開発で折り紙ヒコーキの研究ですか! なんだかちょっとだけ宇宙が身近になったような。で、実はですねちょっとお聞きしにくいんですが、今から宇宙開発にかかわる仕事で副収入を得ようと目論んでいるんです。可能性はどうですか?

「経理や総務といったセクションを除いて、宇宙開発にかかわるというのであれば、どうしても理工系を中心とした高い専門性が要求されます。研究開発の現場では、やはり航空宇宙工学や機械工学、電子工学といった分野の人が目立ちますね。一般のサラリーマンが副業としてできる仕事は残念ながらないですね」

そうですよね。やっぱり専門分野をしっかり勉強して、JAXAや宇宙開発に携わる企業にきちんと就職しないとダメみたい。とはいえ、今から脱サラして専門知識を身につける気力もないし。うーん、専門機関で宇宙開発にかかわりながらの副収入はやっぱり難しいか。
イラスト/坂谷はるか ベッドの上でずっと安静にしていればいいだけって、一見楽そう。20日間を長いと考えるか、短いと考えるかは人それぞれ?

だれでも参加できる?宇宙医学実験の気になる公募内容



ボクたちサラリーマンが「宇宙開発に携わってみたい!」なんてふと思っても、難しい普通はそう考えますよね。ところが、大学では、無重力が人体に及ぼす影響を調べる宇宙医学実験の被験者を公募することがあるそうです。

しかも、「専門知識不要。ただ寝てるだけでOK」とのこと。さらにウン十万の謝礼が貰えるとか。これはひょっとして宇宙開発にかかわって、なおかつ副収入まで得られてしまうというお話なのでしょうか?

さっそく2007年に「20日間、ベッドで寝たきり」の宇宙医学実験を報酬30万円で公募した愛知医科大学の岩瀬敏教授にお話を聞きました。

先生の宇宙医学実験に参加するにはどうすればいいのでしょう?

「被験者を募集するときには、大学のHPで告知したり、知人の口コミで参加を呼びかけてもらったりしています。2007年の実験では、心身が健康な18~30歳ぐらいまでの男性という条件で募集しました。応募方法は、大学のHPに公表しているアドレスにメールを送ってもらう形です」

なるほど。ところで気になる応募の倍率って、どのくらいなんでしょう? すごく応募が殺到するとか。

「倍率はそうでもないですよ。だいたい3倍くらいでしょうか。合格!となっても、その後自ら辞退する人が結構いて、急きょ追加募集をかけたこともあります」

ちなみに面接もあると聞きましたが。

「面接といっても基本的にマジメかどうかを見るのが中心です。寝てお金だけもらう!みたいに安易な考えの人は困りますから。それに、遠方の方の場合は、愛知まで面接だけのために来てもらうのは大変なので、電話で意思を確認して合否を決めています」

面接といっても、専門知識などの難しいことを聞かれるわけではなく、真剣に実験に参加する姿勢を確認しているのですね。ところで、2007年の募集要項には「携帯電話使用OK」「無線LANでのインターネット接続が可能」「各人にテレビ1台」「実験期間中に被験者への面会歓迎」「学生は勉強自由」などとあって、楽そうな感じもするんですけど。

「いやいや、決して楽ではありません。寝ているだけといっても、枕はなく、頭の側を6度下げたベッドに寝てもらいます。それが一番無重力に近い状態なんです。枕で寝ている普段とは逆に、頭が下がった状態ですから、人によってはぼんやりしたり、頭が痛くなったりします。1週間くらいは慣れないで、大変ですよ。食事も排泄もベッドの上で行いますし、アルコールなどで体を拭くだけで、お風呂にも入れません。髪だけは洗髪機で洗えますが。ベッドで勝手に上半身を起こすことも禁止です」

ただ「食っちゃ寝」というわけではないんですね。ところでこの実験ではどんなことがわかるのですか?

「2007年の寝たきり実験では、被験者を2つのグループに分けました。ひとつは決まった時間だけ、エアロバイクなどによる運動を行うグループ。運動するといっても、短時間です。それ以外の時間は同じくベッドで完全に寝ていてもらいます。もう一方のグループは、完全に24時間20日間寝たきりです。無重力状態で生活すると、人の筋肉は萎縮してしまうのですが、毎日運動するグループは、運動しないグループよりも筋肉の萎縮に改善が見られました。2007年以前に、1日おきに運動する実験を行った時よりも、いい改善結果が出たのです。このことから宇宙空間などの無重力空間では、正常に近い体を維持するために、毎日運動するのがポイントだとわかりました」

なるほど。たまにではなく毎日が大事のか。こうした実験の積み重ねが将来、宇宙飛行士たちの体を守る大切なデータになっていくんですね。

「寝てるだけで30万円!」と聞いて、ついうかれてしまいましたが、岩瀬教授にお話を聞いて、そんな自分を反省しました。ボクたちが宇宙研究に貢献できる手段があったことに喜びを見いだすべきなんです! 態度が180度変わったと思われても仕方ないですが、次に募集がかかったときには、しっかりとした決意をもって挑戦してみたいと思います。長期休暇、とらなきゃ! 専門機関で宇宙開発にかかわる副業があれば、夢があっていいと妄想したけど、やはり専門知識がなければかなり難しい様子。当然といえば当然ですが。しかし、研究ではなくて、実験に参加という形なら、可能であることがわかりました。

ただ「寝て、食べて、好きに過ごして30万円」って、おいしいと思ったけど、岩瀬教授がおっしゃっていた通り、実験は決して楽なものではありません。きちんとした参加意識をもって臨むことが大事なんですね。

今回紹介した宇宙医学実験のほかには、2008年に名古屋大学が公募した「20日間、片足で生活する実験」という例もあります。12名を募集したこの実験では、寝泊まりまでは要求されませんでした。松葉杖を利用してひらすら20日間、片足を使用しないで日常生活を送ってもらったそうです。こちらは15~18万円の謝礼が出ました。こちらも「実験前」と「実験後」に、運動テストを行い、体の変化を調べるというものでした。

今回のレポートはいかがでしたか。「こんなおもしろい副業あるよ!」というのがあればぜひお便りください。「前から気になっているあのユニークな副業について調べてきて!」なんていうリクエストも大・大歓迎です!

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