副収入の怪しい世界

第3回 ホームランボールで一攫千金!?

2009.05.27 WED

副収入の怪しい世界


写真提供/ロイター/アフロ バリー・ボンズのメジャーリーグ通算本塁打記録更新のホームランボールを奪い合うファンたち

オークションの落札価格は約3億円!?メジャーリーグのホームランボール事情



ホームランボールは副収入になるのか? そのためにはまず、ホームランボールの具体的な価値について知りたいところです。

そこで、ホームランボールがオークションにかかることも多いというメジャーリーグのホームランボール事情について、かつて報知新聞の通信員としてメジャーリーグの取材を担当していたスポーツライターの大富真一郎さんに聞いてみました。

「高額な値がついたホームランボールといえば、1998年にマーク・マグワイア(当時カージナルス)のシーズン本塁打記録(当時)となった70号のホームランボール。オークションで日本円にして約3億円で落札されました」

さ、3億円。こうなるともはや副収入というか、生涯賃金クラスの数字。しかし、実はこの数字、そのまま鵜呑みにすることはできないようです。

「実はこのホームランボール、いわゆるスポーツグッズ鑑定のプロは軒並み1億円ぐらいで手を引いたんです。というのも、本当にマグワイアのホームランボールかどうかが怪しかったから。一応、コミッショナー事務局やキャッチした人の証明はあったものの、マグワイア本人のサインがありませんでした」(スポーツグッズ鑑定士・前野重雄さん)

前野さんによれば、サインのないホームランボールは、署名のない小切手のようなものなのだとか。

「小切手は、たとえ何億円という金額が書かれていても、署名がないとお金にはなりませんよね。同じようにホームランボールも、打った選手のサインがなければ価値がありません。サインのないものは自称ホームランボールといって、私たち鑑定のプロは基本的に手を出さないんです」(前野さん)

ちなみに、のちにマグワイアの記録を更新したバリー・ボンズ(当時ジャイアンツ)のホームランボール争奪戦は過熱するあまり、ちょっとした社会問題にもなりました。キャッチした人が誰かをめぐって裁判沙汰となり、その騒動が映画化されたのだとか。

そういう事件もあり、ヒートアップする争奪戦を抑制する意味で、メジャーリーグでは「これはあなたのホームランボールだからサインしてほしい」という申し入れがあっても、基本的には応じないという選手会の取り決めができたそう。

メジャーリークでよくいわれる「ホームランボールで一攫千金」は、それほど簡単ではないというか、今ではほとんど現実味はないようです。
これがサイン入りホームランボールだ!…撮影者自身の(笑)。価値がないからといって、自分で勝手に偽サインを入れちゃダメですよ!

もしもプロ野球観戦でホームランボールをキャッチしたら…



かつて億単位の値がついたこともあるメジャーリーグのホームランボール。しかし、日本ではあまりそういった話は聞きません。もしかしてホームランボールをキャッチしても回収されたりするのでしょうか?

「いえ、ファンサービスの意識が向上した現在は、ほとんどの球団が基本的にホームランボールはキャッチした人にあげているようです」(『野球小僧』編集部・持木秀仁さん)

ならば直接問い合わせてみようということで、セ・パ12球団にアンケート調査を実施してみました。結果、期限までに回答が得られた球団は12球団中11球団(1球団のみ管轄のホーム球場広報が回答)。そのうち10球団は「基本的にはキャッチした方へプレゼント」という回答でした(1球団は無回答)。どうやら日本のプロ野球でも、ほとんどの場合、ホームランボールはキャッチした人がもらえると思っていいようです。

では、運よくプロ野球観戦中にホームランボールをキャッチしたら、そのボールにはいくらぐらいの価値があるのでしょうか? スポーツグッズ鑑定士の前野重雄さんに伺ってみました。

「幸か不幸か、日本のプロ野球において、プレミア価格がつきそうなメモリアルボールが我々鑑定士に持ち込まれるケースは例がありません。ホームランボールは、その選手や球団のファンにとって、あくまで個人的な記念品ということでいいのではないでしょうか」

前野さんによると、メモリアルなホームランボールを運よく手に入れたら、返却を申し出ることで、選手本人から代わりのサイン入りグッズをプレゼントしてもらえるケースがあるそう。

「その方が、ホームランをキャッチしたファンにとっても、きちんとしたお宝としての価値がありますよね。メジャーリーグに比べると、日本はもともと記念となるホームランボールの返却を求めるケースは多いようです。選手・球団にとって、節目のホームランはやはり特別なものですから」(前野さん)

12球団へ行ったアンケート結果を見ても、メモリアルホームランの場合(例外はあるものの)、多くの球団・選手が返却に応じてくれた人へ、お礼として代わりにサイン入りの別のボールやサインバット、革手袋といったグッズをプレゼントしたり、記念写真を撮影するなど、ファンへのお返しをしているようです。

ホームランボールはオークションで高く売れる、なんて印象があったけど。野球ファンにとっては、キャッチしたボールや選手からもらったサイン入りグッズこそが、プライスレスなのかもしれませんね。 ちなみに、今回の取材では、こんな話も聞かせてもらえました。

「昨年、プロ初本塁打を放った入団7年目の佐藤選手が、
ヒーローインタビューに登場した際、ホームランボールを
キャッチされた方にもお立ち台に上がっていただき、直接、
佐藤選手にボールを渡してもらったことがありました」(北海道日本ハム)

おお、これはすごい! このホームランボールをキャッチした
ファンにとって、またとない貴重な体験ですよね!

そもそも、結果的にキャッチできたホームランならともかく、
最初から副収入目当てでホームランボールを待っていたり、
野球を観に行くのは(こんな話題を持ち出しておきながらなんですが)、
一生懸命プレーしている選手にも失礼な気が。

というわけで、スポーツはスポーツとして純粋に楽しみつつ、
もっと別の副収入をゲットするべく、旅立ちたいと思います。

当連載は今回がラスト。短い間でしたが、ありがとうございました!

のり・たまみ

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