珍グルメ探偵団

第5回 まさに地球の味!? 土を食ってみた!

2009.09.25 FRI

珍グルメ探偵団


普段、みなさんも馴染みのある土。これが食べられるって…ほんと?

実は世界にかなり存在する!土を食べる人々



みなさんは、「土」と聞いて何を思い浮かべますか? 「普段踏みつけているもの」「野菜を育てるもの」「小さいころ、土遊びをしたもの」。はい、どれも正解です。そして、「食べ物」。容易に思い浮かばないでしょうが、これも正解なんです! ですよね? 

「はい、正解です。アジア、アメリカ、アフリカ、オセアニアなど、世界のあらゆる地域に、土を食べる習慣はあるんです。アフリカのペンバ島では、若い女性が妊娠を示すサインとして土を食べますし、ベトナムには土を網で焼いて客に出す習慣がある地域も存在します。ハイチには『テーレ』と呼ばれる土入りのビスケットもあるんですよ。日本でも、アイヌの人々がユリの根と一緒に煮て食べていましたし、妊娠した女性が壁土を食べたがるという話もあるんですよ」

と、教えてくれたのは『世界奇食大全』の著者、杉岡幸徳さん。なぜ、妊婦さんが土を食べたがるのですか?

「土食症と呼ばれる症状で、妊娠することによって鉄分不足になると、土を食べたくなるのです。また、時には子どもも、栄養が足りなくなると同じ症状が出るんですよ。土には、マグネシウムやナトリウム、カルシウム、鉄分などのミネラルが豊富に含まれていますから、体が欲するのだと思います。ほかにも、カオリナイトという物質が含まれており、それは下痢を止めるのに効くため、中南米やオーストリアには下痢止めとして土を食べる人々もいます」

ちなみに、それらの土は食用のものなのでしょうか?

「いや、食用の土ではなく、その辺にある土を食べているはずですよ。そもそも、食用の土というものは存在しないでしょうし。ただ、やはり生はダメでしょうね。土には、ミネラルのほかに、寄生虫や虫の卵などもたくさん含まれているでしょうから。一度、火を通してから食べていると思います」

やはり、これまでの珍グルメ同様、土も生はダメか。いやぁ、しかしどんな味がするんですか? 

「かすかに甘みはあるものの、基本的に無味無臭です。ただ、食べたあと、なぜか懐かしさを覚えるんです」

学生のころ、体育の授業などで砂ぼこりは口にしたことがあるけれど(じゃりじゃりと気持ち悪かったことしか覚えてません)、さすがに土は。妊婦さんでも、栄養不足の子どもでもないけれど、土、非常に食べてみたいです!
こちらは土のスープ。よーく見てみると、小さい粒のようなものが漂っていました。でも、何度も裏ごしされているせいか、じゃりっとした食感はまったくありません!

土のスープに、土のデザート…土をフルコースで堪能してきた!



世界のとある地域では、食べ物として扱われている土。「土を食べる」なんて、一瞬、耳を疑ってしまいますが、事実です。しかも、なんと東京は五反田に、土を使った料理を食べさせてくれるフランス料理店(!)があるとのことなので、さっそく食べに行ってまいりましたー!

このたび、お邪魔したのは、JR山手線五反田駅から徒歩10分程度のところにある『ヌキテパ』。事前に「土を使った料理を食べさせてください」と連絡をしておいたので、今回は土のフルコースを用意していただきました。

最初に運ばれてきたのは土のドレッシングがかかったサラダ。人生初の土。さっそくいただいてみるとん? なんだろう? いまだかつて味わったことのない味。というか、無味!? ただ、食感はふわふわトロリとしていて、魚介類のキモとかミソとか、そんな感じです。口に含みながら、首をかしげていると、厨房から「あまり考えずに食べてください(笑)」とシェフの声が。

お次は土のスープです。ヨモギ色というか、コケ色というか、深い緑色をしたスープはまるで沼のよう。匂いを嗅いでみると、ほのかにブイヨンの香りがするものの、泥臭さなんかはまったくない。先ほどのドレッシングと比べると、かなりの量があるので、これは土の味を感じられるはず!と飲んでみたところ、う~ん本当に何とも形容しがたい味。あくまで個人的な感想ですが、コンソメスープを吸ったクルトンの味。確かに味はついているのですが、この味!という主張がなく、全体的にほわーっと優しい味。だから、コンソメスープ自体ではなく、スープを吸ったクルトンなんです。飲んだ感じは、トマトジュースや野菜ジュースのようなトロリとした口あたりでした。
こちらは土のソースがかかったナスとスズキの蒸し焼き。ナスのまわりに広がっているのが、土のソースです。一見、普通のお料理ですよね
続いてメインに、土のソースがかかったナスとスズキの蒸し焼きが登場し、土で煮たカボチャ、そしてデザートにはクレームブリュレ風の土のグラタンまで登場しましたが、基本的に土はみんな同じ味。何にも似てないし、何とも言い表せない、それが土の味です。ただ、想像していたような泥臭さやじゃりじゃりとした食感はまったくない。小さいころ、転んで水たまりに顔からつっこんでしまった時のような味はしない!

「土は無味無臭なので、どんな味つけも可能なんですよ。でも、あまりにも強い味をつけてしまうとおもしろくないでしょ? だからうちでは、120℃の熱を加えて殺菌し、鍋で煮たあと裏ごしし、ほんの少しブイヨンで味をつけるだけ。土も食べられるんだということを感じてもらえれば、それでいいんです。ただ、もちろん農薬にまみれた土は食べられません。つまり、土を食べることによって、食の安全の大切さに気づいてもらえれば本望ですよ」

そう語ってくれたのは『ヌキテパ』のオーナーシェフ、田辺年男さん。田辺さんが作る土料理は、なんとスペイン料理界の巨匠・エルブジも食べに足を運び、それ以来、スペインでは土料理ブームが巻き起こり、今ではどこの有名レストランでも土を使った料理が食べられるんですって! 味こそないものの、ミネラル豊富で体に良い土料理。興味を持った方はぜひご賞味を。知られざる最も身近な珍グルメ、一度食べてみても損はないかも!? この連載が始まって以来の優雅なお食事タイムを堪能した今回。
土はもちろんですが、ランチでフレンチのフルコースを
いただくなんてことも人生初だったワケです!

これまでは、食材自体に驚かされてきましたが、
正直、今回は土が無味無臭ってこともあり、
料理の美味しさに驚きまくりのひとときでした。

たまには、こんな回もありですよね。

さて、次回も再び世の中の珍グルメを求めて街をさまよってきますよー!
みなさんからの珍グルメ情報もお待ちしておりますので、
お便り&ご意見、よろしくお願いします!

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