ラーメンのない人生なんて…

第10回 ラーメンの主役、麺を語れる男になる

2009.10.05 MON

ラーメンのない人生なんて…


製麺工場の前に立つ負死鳥カラスさん。粉だらけのTシャツからは、プロレスラーらしいタフな腕がのぞく

細麺、太麺、平打ち麺、etc.ラーメンの麺が多様化した背景は?



「細麺と太麺が選べますが、どちらになさいますか?」

最近、ラーメン屋さんで「麺のチョイス」について聞かれることが多くなったような気がしませんか? 「味噌ラーメンは太麺で、塩ラーメンは細麺でご提供します」といったように、スープに合わせて麺を使い分けているお店もありますよね。

ボクが子どものころ、ラーメンといえば黄色くて中太の中華麺しかなかったような。気がつけば、細麺、太麺、極太麺に平打ち麺、縮れ麺等々、バリエーションはすごく豊富になっています。

麺の種類がこれほど豊富になったのはナゼ? 150種類以上の麺を手がけている製麺所「浅草開化楼」営業担当(にしてフリープロレスラー)、負死鳥カラスさんをたずねてみました。

「30玉ぐらいの小ロット(製造単位)からでも、オリジナルの麺を作れるようになったのが大きいんじゃないでしょうか。製麺所は小規模工場で、フットワークよく対応できるところが多い。ウチの場合、ラーメン店から製麺のオファーを受けたら、スープにピッタリ合う麺を店主と一緒になって試行錯誤しながら開発するんです。結果的に、種類はすごく増えちゃいましたけど(笑)」

ちなみに、浅草開化楼はラーメンフリークの間では知名度の高い製麺所。濃厚な魚介フレーバーが効いたつけ汁に超極太麺を合わせワシワシ喰らう、『六厘舎』につけ麺用の麺を提供していることでも有名です。いわば、ネオつけ麺ブームの火付け役といったところでしょうか?
カラスさんイチオシの「ゴマカレーつけ麺」は、『桃天花』(三河島)の自信作。モッチモチと歯ごたえある平打ち麺が、奥行きのある辛さのつけ汁にからむ、からむ!
「麺はつるつるでなめらか――というイメージじゃなくて、ゴワゴワっとした食感の超極太麺をワシワシ、ガツガツ食わせる。そんなつけ麺を浸透させたかったんですよ」

確かに、スープを別にすることで、麺本来の味をダイナミックに味わえる「つけ麺」が人気を呼んだのも、麺の注目度が高まった要因の一つですよね。しかし、この太麺化の波はどこまでいくの? 10年後のボクらは、ソーセージなみのギガ太麺をほおばってたりして?

「(無視して)麺の形態は、もう行き着くところまできています。最近では、モチモチ食感を出すため、小麦粉以外のタピオカなどを練り込み、不思議な食感をウリにする製麺所も増えてきました。あと、竹炭や唐辛子、ほうれん草や昆布などを麺に練り込んで、色や食感に変化をつける流れもあります。ただ、本来の中華麺は小麦粉とかん水で作るもの。小麦粉のブレンドで魅せるべき、と個人的には思っています」(同)

麺業界にもハイブリッド化の波ですか。トリッキーな変化球系もあり、カラスさんのように原点回帰をねらう王道系もあり。多種多様な麺がしのぎを削ってこそ、ラーメン界も面白くなるってものです。さらなる麺の進化に期待したいですね!
西尾さんは数店で修業を積んだこともあり、どちらのザルさばきにも習熟している。現在はマサ(トウモロコシ粉)入りの麺を振りザルで上げている

ラーメンの麺をおいしくゆでるテクニックとは?



チャッチャッチャッヘイ、お待ち!

手練れの職人さんが作るラーメンって、ウマさはもちろんですけど、リズムがいいかねがねそう思っていたボクですが、「麺」に注目し始めてからというもの、その所作、アクションにもシビれております。

剣豪のような円の動きで麺をすくい取り、一分の隙もない手さばきで湯をチャッチャッ。おぬし、なかなかできるな(なぜ上から目線?)と、うならされることが多いんですよね。

ラーメン職人が麺を上げる、いわゆる「湯切り」にはいろんなザルが使われていますね? とはいえ、ザルを大別すると、円形で平べったい「平ザル」と、筒状の「振りザル」(てぼザル)の2種類。振りザルは振り下ろすだけで簡単そうだけど、麺をうまく集めて湯切りしなきゃいけない平ザルは難しそう。どちらを使っているかで、職人の腕が分かったりするのかしら?

「いや、どちらのザルも一長一短がありますから、うまさというよりは、どんな麺を提供したいのかという志向でチョイスされるものでしょう」

と、教えてくれたのは、『西尾中華そば』(駒込)の店主・西尾了一さん。ふむふむ、その一長一短とは?

「いずれのザルも、麺からいかに湯を切るかが肝心です。つまり、麺に残ったゆで湯でスープを薄めないためですね。面積が大きく湯切りしやすい平ザルは1玉分しか湯切りできないため、数人分の麺をゆでていると、最初と最後ではどうしてもタイムラグが生じてしまいます」
こちらが平ザル。いかにも扱いが難しそう。「慣れれば意外と簡単ですけどね。ボクは駆け出しのころ、濡れぞうきんを使って麺上げの練習をしましたっけ」(西尾さん)
確かに。わずか数秒の違いでも、麺の伸び具合には差が出そうですもんね。その点、振りザルなら数本を一気につかんで湯切りもできるし、スピードでは優る、と。

「しかし、麺が泳ぐ空間が少ない振りザルは麺がダマになりやすいのがネガティブファクターなんですよ。しょっちゅう箸でかき混ぜるなど、ゆでている間のケアが欠かせません」

なるほど。麺の動向に注意を払っているのはどちらのザルを使っていても変わらないわけですね。しかし、日ごろからラーメン店を食べ歩いていて思いますが、老舗=平ザル、ニューカマー=振りザルというイメージが強いんですけど。

「最近流行の濃厚豚骨魚介ラーメンは、太麺を合わせるのがスタンダードです。重量感があるため、太麺の湯切りは振りザルが適していますからね。必然的に、振りザルを見かける機会が多くなったのではないでしょうか」

納得です! もちろん、どちらもチャッチャッという音が食欲を刺激してやまないのは言うまでもないですよね~。麺とスープを食べるラーメンですが、職人さんの巧みな所作、小気味よい音も食べさせてもらっている、といえるのかも。 スープに負けじと、想像以上に麺の世界も奥が深いですねぇ~!

さっそく、ゆでたて、打ちたての麺に舌づつみを打ちに出かけたくなっちゃいました。
またまたラーメン食べ歩きの楽しみが増えますね。

さて、次回は「スープ・麺」に続いて「具材」をクローズアップ! 
驚きの仕込み技法、新感覚のラーメン食法に迫ってみたいと思います。
ご期待ください!

当連載では引き続き、ラーメン情報を大募集中です。
記事に対する感想ともども、気軽にお寄せいただければうれしいです。

いや~、ラーメンってホンットにいいものですね~。
では、また!

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