知らない国を食べ尽くしたい!

第7回 食も観光も“温かい”! ハンガリー!!

2009.10.30 FRI

知らない国を食べ尽くしたい!


夕焼けとライトアップが見事にマッチしたブダペストの風景。ネオンがなく、統一されたガス灯が川沿いに連なります。川面に映るひとつひとつの光が、「ドナウの真珠」と呼ばれるのも納得できる美しさです。写真提供/ハンガリー政府観光局

日本にも負けない温泉大国!



ハンガリーは中欧の国。最初にその名を意識したのは、世界史の授業でしょうか? でも、どんな国なのか、いまいち情報が伝わってこない。そこでハンガリー政府観光局長、バーリン・レイ コーシャさんに見所を伺いました。

「首都のブダペストのお話から。もともとブダとペストの2都市だったんです。ブダはもともと王宮があった首都、ペストは繁華街でした。ブダペストは、街全体が世界遺産として登録されているので、19世紀の雰囲気を残していかなければなりません。国会議事堂より高い建物を新しく建ててはいけないというルールがあるので高層ビルはありませんし、中は近代化されたビルでも外壁を古いまま使うなどの工夫をしています。また、街には電光掲示板やネオンがなく、いまだにガス灯を使っています。ブダとペストを分けるドナウ川にまたがる橋の街灯が、ひとつひとつ、川面に反射して真珠のように見えることからドナウの真珠と形容されています」

中世の街並みを照らすガス灯の灯り、きっと雰囲気たっぷりの夜景なんでしょうね。街全体が世界遺産というくらいだから、きっと見所も盛りだくさんなんでしょうが、あえて名物を挙げたら?

「温泉が名物ですね。ブダペストは世界で唯一、首都であり温泉地でもある都市なんです。ローマ帝国時代から温泉地として親しまれてきましたし、16世紀ごろに建てられてた温泉施設がいまだに使われています」

16世紀の建物が残っているだけでも貴重なのに、当時のままの温泉に入れるなんてさらに贅沢。日本にも温泉はたくさんありますが、ハンガリーの温泉はどんな特徴が?

「建てられた時代によって、入浴方法が異なります。16世紀から伝わるトルコスタイルだったら、裸で入浴、お湯の温度も高め。最近の温泉だと、水着で入浴し、お湯の温度もぬるめです。そもそもハンガリーの温泉は、治療目的で利用されるのが一般的で、医者が常駐しています」

日本の温泉にも湯治なんていう言葉がありますが、ハンガリーはより治療目的なんですね。さて、そんなハンガリーの食文化も知りたい。なにやら、贅沢な名産品があるとか。

「フォアグラの生産量は、フランスとハンガリーで世界のシェアのほとんどを握っています。ハンガリーのフォアグラは非常に濃厚な味なので、甘みの強い貴腐ワインと相性バッチリです。貴腐ワインは、世界でも3カ所でしか造られていません。ハンガリーはそのひとつ。トカイ地方で造られているトカイワインが有名ですね。貴腐菌がブドウについて、香りをつけながら水分を飛ばすことでブドウの甘みが凝縮し、それを絞るという製法で、収穫に非常に手間がかかります。ともにハンガリーでも高級品ですが、日本ほど手の届かない値段ではないので、ぜひ試してみてください」

フォアグラ&ワインなんて、高級で日本ではとてもじゃないけど試せない。だからこそ、本場で食べてきた! なんて自慢できるかも。温泉も有名ということだし、温泉好きの日本人としては、ぜひハンガリーの温泉巡りをして、裸のつきあいをしつつ、フォアグラ&ワインに舌つづみを打つなんて旅をしてみたいものですね。
ビーフ、セロリ、にんじん、たまねぎ、そしてパプリカ。さらに、チペトケというすいとんのようなものが入っています。少しパプリカスパイスの辛みはあるものの、これとパンやライスがあったら、1食分になりそうです。グヤーシュ 1280円

どんな料理にも使われるハンガリーが誇る食材とは?



ハンガリー料理に舌つづみを打ちたい。と思ったところで、さてハンガリー料理とは具体的にどんな料理を指すのか、よくわかりません。自由が丘のハンガリー料理店、キッチン カントリーのオーナシェフ、齊藤一正さんに教えてもらいました。ハンガリー料理ってどんな特徴があるんですか?

「ハンガリー料理は、洗練されているというわけではなく、スープや煮込み料理が多いですね。ヨーロッパを旅している日本人が、ハンガリーに来て料理を食べると、素朴さにホッとするらしいですよ。なかでも一番有名なのがグヤーシュです。ハンガリーでは当たり前に食べられるスープで、観光で行っても、必ず食べることができると思います」

そのグヤーシュ、早速いただきます! 見た目はトマトベースのような赤いスープ。野菜がたっぷり入っていて、ヘルシーな感じです。野菜から出る自然の甘みに、少しスパイスが効いていますが、口のなかに心地よい辛さが残ります。特に女性受けが良さそう。

「当店のグヤーシュは首都のブダペスト風なので、野菜の形も残っていますが、ハンガリーの田舎に行くと、野菜もどろどろに煮込まれているようなグヤーシュも食べられます。昼はこのグヤーシュとパンで軽く済ませたり、夜はメインの前の前菜として食べたり。どんなときでも、どんな場所でも登場する国民食です」

野菜が溶け込んだグヤーシュもおいしそう。煮込めば煮込むほどウマイっていうのは、世界共通ってことで。ところで、このグヤーシュ、何がベースになっているんですか?

「グヤーシュは、パプリカのパウダーから作られています。具には豆や肉も入れますが、もちろんパプリカも。ハンガリーではパプリカが130種類以上作られていて、甘さや辛さにもたくさんのレベルがあります。それらを組み合わせて、それぞれの地方や家庭の味が生まれるんです。他にも辛いパプリカはパウダーにして香辛料として使ったり、白いパプリカはサラダに入れたり、大きめだったら肉詰めにしたり。様々な料理法があるんです」

まさに万能食材。それにしてもパプリカがメイン食材なんて珍しい。パプリカの何がいいの?

「パプリカは健康食材としても有名なんです。ビタミンCやベータカロチンが豊富に含まれていますからね。ハンガリーは、ヨーロッパでビタミンCの生産量が3位以内ですが、もちろんパプリカから抽出しています。そもそもビタミンCを発見したのは、ハンガリー人のセント=ジェルジ・アルベルトという人です。その功績でノーベル賞をもらっていますよ」

ビタミンCというと柑橘類のイメージが強いですが、パプリカにも豊富に含まれているんですね。ハンガリーのよく煮込まれたグヤーシュを食べれば、寒い冬にも打ち勝てそうです! 古い街並みが残る、美しい国。
ハンガリーに対して持っていた、そんなぼんやりとしたイメージが、
今回の取材で明確になりました。

それにしても温泉大国とはビックリ。
ブダペストは、世界一源泉の多い首都のようですが、
ちなみに2位は東京らしいです。

今回取材で伺ったカントリーは、店内にたくさんの色紙が貼ってあります。
でも色紙の書き手が有名人ではなく、一般のお客さん。
グヤーシュとパンだけでおなかいっぱいにしたい若いハンガリー人なども食べに来るとか。
人の温かさを感じるお店でした。

さて次回は、第1回以来のアジアの国に戻ります。
調査してほしい国などあったら、お便りくださいね。
お待ちしてま~す!

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