“答えのない就活”とどう向き合う?
「10年先」と「原点」を見よ。人気企業の人事が教える、就活で後悔しない“情報収集”のオキテ
新R25編集部
そろそろ就活シーズンが到来します。
情報があふれ、人の意見も多種多様。“答え”のない就活において、どうしたら「後悔しない会社選び」ができるのか、頭を悩ませる就活生も多いのではないでしょうか。
そこでお呼びしたのが、リクルート・Google・楽天など、名だたる企業13社を渡り歩いたキャリアの専門家・尾原和啓さん。
さらに、サイバーエージェント、味の素、双日と、人気企業の人事担当の方々をお招き。
“答え”のない就活で、自分なりの軸を確立するための「ヒント」をつかむべく…
・「自分なりの軸」の定め方
・「情報収集」のコツ
を“就活のプロ”目線で教えていただきました。
「自分の選択が本当に正しいか不安」と感じる就活生は、全員必見です。
キャリアの専門家「“努力の娯楽化”ができると、成長角度はどんどん上がっていく」
【尾原和啓(おばら・かずひろ)】1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科を修了後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。NTTドコモ「iモード」立ち上げを支援する。その後、リクルート、Google、楽天などに所属
Q1 尾原和啓さんが考える、就活における「自分軸」の決め方
尾原さん
「努力を娯楽化できるのはどんなときか」を探すことが大切です。
新卒の場合、あなた自身もどんどん成長・変化していきますし、企業も今のあなたを“完成形”ではなく“成長ポテンシャル”で見ています。
なので、努力を努力と感じず、むしろ「娯楽」と言えるほどに没頭できるのはどんなときなのか?を深掘りすることが大事。
「気づけば成長していた」と言える状態が作れれば、成長角度がどんどん大きくなるはずです。
Q2 尾原和啓さんが語る、後悔しないための「情報収集」のコツ
尾原さん
“DX確定”時代の情報収集は、この2つが大事です。
1.10年後の未来を見る
変化の激しい時代において、1〜2年後を見るだけでは振れ幅が予測できません。
一方、10年単位で見れば、業界の成功方程式が根底からどう変わるのか?がわかります。
特に、「技術」「世代の価値感」「国際化」「規制」などの“激変要素”を押さえておくといいでしょう。
2.“原点”を深掘る
10年後に“激変”を迎えた場合、企業の意思決定は“原点”に左右されます。そのため、「どこから来たか?」を知っていれば、「どこに行くか?」の予測がしやすくなります。
「1」と「2」を掛け算すると、企業固有の未来が見えやすくなると思います。
サイバーエージェント人事担当「自問自答で浮かんだ“言葉”に、自分なりの軸のヒントがあります」
【石田裕子(いしだ・ゆうこ)】2004年にサイバーエージェントに新卒入社し、広告事業部門で活躍。2つの子会社で社長を経験したのち、2016年より執行役員、2020年より専務執行役員を務める。現在、人事管轄採用戦略本部長も兼任
Q1 石田裕子さんが考える、就活における「自分軸」の決め方
石田さん
「自分とはどんな人間か」を自問自答することがファーストステップだと思います。
自分にはどんな強みがあり、どんな環境であれば自分の能力が発揮できそうか、そしてどんな状態であれば幸せでワクワクするかを考えてみる。
その過程で「よく出てきた言葉」を“軸”として仮設定するといいと思います。
そのうえで、各企業の情報を収集したり、実際に社員と話したりしてみてください。
自分の価値観や考え方と合致する部分はどこかを見極めていくことで、「自分なりの軸」が確立されていくはずです。
Q2 石田裕子さんが語る、後悔しないための「情報収集」のコツ
石田さん
情報収集においては、この「7つの習慣」が大切です。
・情報収集先は必要以上に増やさず、目的に合わせて手段を選択する
・決算発表資料などのファクトに目を通す
・自分の目で見たものを「正」とし、嘘の情報に惑わされない。自分の価値観で判断する
・情報は「多面的かつ客観的」に見る
・情報を隠そうとする会社は、何かが怪しいと疑ってかかる
・自分が一番知りたい情報は、直接企業の社員に聞く
・企業の雰囲気や風土は、自分の肌で感じ取る
味の素 人事担当「大事なのは『就活がうまくいくか』ではなく『社会人人生で何を大切にしたいのか』」
【井上泰輔(いのうえ・たいすけ)】2006年に味の素株式会社に新卒で入社し、国内家庭用商品の営業担当としてキャリアをスタート。営業企画や営業組織の統括を経て、2021年より人事部採用チーム長として、新卒採用、キャリア採用、入社1~3年目社員の育成を担う
Q1 井上泰輔さんが考える、就活における「自分軸」の決め方
井上さん
人によって「軸」は異なると思います。社会貢献・仕事のやりがい・自分自身の成長・プライベートの充実…などさまざまな考え方がありますよね。
そのどれもが間違いではありませんので、大切なのは“軸の選び方”だと思います。
もし迷ったら、「何を軸にしたら就職活動がうまくいきそうか?」ではなく「これからの社会人人生で、何を大切にしたいのか?」と考えてみるといいかもしれません。
参考までに、私自身が就活生のころは、「誰かの(社会の)ためになっている」「興味をもって取り組める」「(家族が不自由なく暮らせる程度に)稼げる」の3つの軸を掲げていました。
Q2 井上泰輔さんが語る、後悔しないための「情報収集」のコツ
井上さん
興味のある業界や企業だけでなく、興味のある企業が取引している先の企業・業界まで視野を広げてみると、また違った姿が見えてくるかもしれません。
また、あまり先入観を持たず、広い視野を持って、ぜひいろいろな業界や企業で働く人の話を聞いてみてください。
今はオンラインで会って話ができる環境が整っていますので、いろいろなビジネスパーソンと話をして、さまざまな価値観に触れて、自分自身の軸を定めていくといいと思います。
双日 人事担当「自分で動いて手に入れた情報だけが、“最後に信じられる情報”です」
【小林明日香(こばやし・あすか)】2011年新卒入社。鉱産部にて鉱物資源のトレーディングを担当。ベトナム研修を経て、メタルワンへ出向。一昨年より、人事部採用課にて新卒採用の統括を担当、新設されたデジタルHR推進室を兼務
Q1 小林明日香さんが考える、就活における「自分軸」の決め方
小林さん
みなさんが歩んできた「過去」に、必ずヒントがあると考えています。
今までの人生を振り返り、どんなときに充実感を得たのか、まずは思い出してみてください。
たとえば、「ほかの人から指示されたことではなく、自分で決めたことに取り組んでいるとき」「チームの中で責任ある仕事を任されているとき」など、さまざまなエピソードが思い浮かぶはずです。
こういった要素を「過去」から抽出したうえで、就職先に何を求めるのかを明確にするといいと思います。
Q2 小林明日香さんが語る、後悔しないための「情報収集」のコツ
小林さん
自分の人生を決める大事な情報ですので、誰かの又聞きではなく、自分で動いて手に入れた情報こそが“信じられる情報”になるのではないでしょうか。
もちろん基本的な情報は、公式サイトやYouTube、SNS、イベントなどで、効率的に収集していいと思います。
ただ、自分のなかで沸いた「疑問」や「本当に聞きたいこと」は、ネット上ではなくぜひ社員に直接聞いて、ご自身で感じ取っていただければと思います。
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